第100回高校サッカー選手権は8日に準決勝を迎える。

勝者のかたわらには、敗者の物語も生まれる。2回戦敗退となった堀越(東京A)には、ライバルで仲間だった3年生の双子の兄弟がいた。

MF宇田川瑛琉(えいる)と、DF侑潤(あうる)。名前の由来は、生まれる前の“ポジション”。母のおなかの左側にいた兄は、レフトの頭文字「L」の読みから「えいる」。右側にいた弟はライトの「R」から「あうる」。2人で1つの名前。兄の瑛琉は「お互い自慢してて、誇りを持っています」と胸を張る。

好みはそっくり。一番好きな母の手料理はハンバーグ。音楽も気付けば同じ曲を聞いている。堀越を選んだのも2人で決めたわけではなく、好きなところが一緒だったから。選手主体のボトムアップ方式に、整ったサッカー環境。「このサッカー部に入りたいと2人とも思っただけです」(瑛琉)「2人の意見が合わさりました」(侑潤)。

小学生の時はレジスタFCで一緒にプレーし全国制覇。中学生になると瑛琉が東京V、侑潤は浦和のジュニアユースに進んだ。当時はともにボランチでマッチアップも多い。「自分も向こうもゲームキャプテンで、その時は一番燃えましたね(笑い)」と侑潤。父と母はどちらを応援すればいいのか、いつも複雑だった。

再び一緒に頂点を目指した戦いは、大みそかに終わった。「侑潤じゃなかったら、左サイドバックは務まらなかった。侑潤の存在は大きいなと思った」(瑛琉)。「兄弟がいるというのは一番心強い。そこが一番、一緒にやって良かったなと思う」(侑潤)。2人でプレーした思い出を胸に、卒業後は再び別々の大学へ進む。「この先いろいろ経験して、2人でプロとして、同じピッチで相手同士で戦いたい」と瑛琉。次はまた、ライバルだ。

2人で交わす特別な言葉はいらない。家族ですき焼きを囲んで、年越しそばを食べ、それぞれの道へ歩み出した。【磯綾乃】

21年12月29日、高知戦でボールをキープする堀越・宇田川侑潤
21年12月29日、高知戦でボールをキープする堀越・宇田川侑潤
幼少期の兄宇田川瑛琉(右)と弟侑潤(宇田川瑛琉選手提供)
幼少期の兄宇田川瑛琉(右)と弟侑潤(宇田川瑛琉選手提供)
小学5年生の時の兄宇田川瑛琉(左)と弟侑潤(宇田川瑛琉選手提供)
小学5年生の時の兄宇田川瑛琉(左)と弟侑潤(宇田川瑛琉選手提供)