【グラスゴー(英国)3日(日本時間4日)=山本幸史】窪木一茂(34=日本競輪選手会)が、男子スクラッチレースで2年連続の銀メダルを獲得した。この日は団体でも追い抜きの予選突破に貢献。チーム最年長として日本勢を引っ張ったが、レース後は「悔しいですね」と表情をゆがませた。

「去年とは余裕が全然違った。去年はついていくレースだったけど、強い強豪が前に入れてくれた。レースを僕がつくっているみたい。リスペクトを感じた」。昨年は強豪を追いかけ、内に包まれる中で、辛くも外に持ち出しての殊勲の銀だった。今年は終盤で5番手まで上昇。残り半周からのダッシュ勝負に加わり、外を追い込んでの2着。わずか1車身半の惜敗だった。「去年と同じコース取りで伸びたので悔しい。アルカンシエル(世界王者に与えられる虹色のジャージー)が見えていたので…」とため息をついた。

今回、中距離計4種目に参戦する34歳は、午前に団体追い抜き予選に出場。最終出走だった前年王者イギリスがまさかのゴール前50メートルで棄権する運もあり、予選突破とともに五輪出場枠への望みをつないでいた。疲労を心配する周囲をよそに「メダルは格別なので」と元気いっぱい。「ホテルに帰って、みんなどんな反応するか楽しみ」といたずらっぽく笑った。持ち帰ったメダルを刺激に、後輩とともに団体種目での五輪枠を取りにいく。

 

◆窪木一茂(くぼき・かずしげ)1989年(平元)6月6日、福島県古殿町生まれ。日大卒。自転車中長距離で活躍し、16年リオ五輪男子オムニアムでは14位。20年3月、特別選抜入試で日本競輪選手養成所に合格し、競輪選手となった。昨年の世界選手権スクラッチレース銀メダルの特例で、現在はS級選手。172センチ、75キロ。血液型O。

 

◆スクラッチレースとは 男子は1周250メートルのバンク60周(15キロ)で順位を争うトラック版の個人ロードレース。20人ほどが、相手を風よけに使うために先頭を入れ替わり、周回を重ねてゴールを目指す。単独では五輪種目ではないが、中距離4種目で行われるオムニアムの第1種目。