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出場権争い混とん/05年全日本フィギュア

05年全日本フィギュア最終日 華麗な演技で舞う村主章枝
05年全日本フィギュア最終日 華麗な演技で舞う村主章枝

◇12月23日~25日◇東京・代々木第1体育館

 新たな力の台頭と、それに追いやられるかのような有力選手の低迷。全日本選手権前、06年トリノ五輪女子3枠の出場権を懸けた争いは、混沌を極めていた。当初、4人で争うと見られていた代表候補は、5人に増えていた。さらに、年齢制限で五輪に出場できない浅田真央(15)の存在も行方を惑わせた。たった1つの順位の違いが、天国と地獄の分かれ道を呼ぶ。全日本が、すべての決着の場だった。

 代表選考はこのとき、1つの明確なルールに縛られていた。それは計2年間の大会順位によるポイント制。五輪シーズン開幕前、順位は村主章枝(24)安藤美姫(18)、恩田美栄(23)荒川静香(23)と続いた。だが、GPファイナルで表彰台に上った中野友加里(20)の台頭が、混迷に拍車を掛けた。大会前、1位は安藤、2位は中野と変わり、3位の恩田から4位荒川、5位村主まではわずか14点差の中にいた。先の読めない闘いが、幕を開けた。

村主SP2位からの逆転V

05年全日本フィギュア最終日 笑顔でY字スピンを決める荒川静香
05年全日本フィギュア最終日 笑顔でY字スピンを決める荒川静香

 ショートプログラム。トップに躍り出たのは荒川だった。大会前に、1年9カ月連れ添ったタラソワ・コーチから独立。コーチを急きょ変えて、勝てるプログラムへと挑んだ賭けが吉と出た。68・76点。2位は、シーズン中にずっと股(こ)関節痛に悩まされていた村主の67・30点。66・64点の浅田、62・20点の恩田、61・46点の中野と続き、シーズン途中から不調に陥っていた安藤は60・24点の6位と大きく出遅れた。泣いても笑っても、残すはフリーの1日だけ。

 迎えた運命の日。最終滑走6人が、それぞれの思いを背負って挑んだ。最初に滑った荒川は、その緊張からミスが目立った。合計187・36点。続く浅田が、女子で世界初となる2度のトリプルアクセル(3回転半)を決めて暫定1位に立った後、恩田は1カ月前にプログラムを変えたばかりの中、11度のジャンプを含めて完璧な演技を披露した。だが、荒川にわずか1・30点届かず暫定3位。命運は、残る3人に託された。

 そして、次の村主がこの日の「主役」となった。選考ポイントは最下位。優勝しか道がない中で、圧巻の演技だった。194・16点は、トップにいた浅田を6・06点も上回った。続く中野はトリプルアクセルが認定されず5位のまま。最後の安藤も精彩を欠いてフリーも6位に終わった。優勝は村主。浅田、荒川、恩田、中野と続き、安藤が6位。これが最終結果だった。

37分遅れの会見発表

05年全日本フィギュア最終日 優勝した村主章枝(中央)と2位浅田真央(右)と3位荒川静香
05年全日本フィギュア最終日 優勝した村主章枝(中央)と2位浅田真央(右)と3位荒川静香

 代表選考会議は、長引いた。選考ポイントは安藤、村主、荒川、中野、恩田の順。ただ、3位荒川と4位中野の差はわずか17点。不調が続く安藤を、そのまま選んでいいのかという議論が、熱を帯びた。予定より37分も遅れた発表の会見。名前を呼ばれたのは安藤、村主、荒川だった。この日はクリスマス。五輪切符という名のプレゼントは、この3人の女性に贈られた。

 また、逃げる高橋大輔(19)と追う織田信成(18)が1枠を争った男子の代表選考は、悲劇にも見舞われた。1度は織田が優勝者として発表され、2位の高橋らと表彰式も行われた。だが、その1時間後に採点ミスが発覚。織田と高橋の順位が入れ替わった。五輪出場が絶望となった織田は泣き崩れ、関係者に抱えられるようにして会場を後に。ほとんどの観客が帰途に就いた深夜、高橋1人で表彰式をやり直した。双方ともにやり切れない結末となってしまった。
※年齢は当時

第1回
町田樹
第2回
安藤美姫
第3回
織田信成
第4回
小塚崇彦
第5回
村上佳菜子
第6回
鈴木明子
2005年
過去の激闘史








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