<全国高校総体:陸上>◇1日◇大分銀行ドーム◇陸上男子400メートルリレー

 陸上男子100メートルで日本初の9秒台を狙う桐生祥秀(17=京都・洛南高3年)が、400メートルリレー決勝を制し今大会2冠を達成した。7番手でバトンを受けたがアンカーとして6人をごぼう抜き。同種目の初優勝に貢献した。100メートルとの2冠は94年高橋和裕(奈良・添上)以来19年ぶり。総体予選として出場した100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目は京都大会から24戦ですべて1着。今日2日の200メートルで3冠を狙う。

 極上のエンターテインメントだった。5レーンの桐生は、7番手でバトンを受けて疾走した。左右に群がるライバルたちの間を割るようにぐんぐん前に出ていく。会場のどよめきを呼ぶ6人抜きの豪快スプリント。ラスト10メートルでかわし、ゴールを駆け抜けると右腕を突き出して絶叫。3走犬井とがっちり抱き合った。

 「夢中で(バトンを)何番でもらったか分からなかった。前を食う感じでいった。ガッツポーズしたけど、ゴールしてから優勝が分かった。(仲間と)抱き合ったのは初めて」

 準決勝のタイムは、決勝9チーム中3番目。「バトンを渡してくれたら何とかする。負けたらオレのせい」と仲間に宣言。刺激は憧れのボルトだった。7月27日のダイヤモンドリーグ、ロンドン大会でボルトが400メートルリレーに登場。アンカーで優勝に貢献した。映像を見た桐生は「ぶち抜いてましたね。すごかったです」。自らもアンカーとして有言実行の逆転勝利だ。

 母校に同種目初の総体タイトルをもたらし、世界選手権(10日開幕、モスクワ)では日本代表の1走を務める。「1番年下なので(2走の)山県さんにしっかりバントパスすることだけを考えてやる」。役割こそ違うが、最高のイメージを持って世界舞台に臨む。

 今日2日は200メートルを3本走って3冠を狙う。「出る種目は全部勝つつもり」と宣言して臨んだ今大会。京都、近畿を経て、ここまで100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目で24戦すべて1着。ラスト3レースも制し、27戦全勝で3冠を達成する。【益田一弘】