新国立競技場の原案を担当した英建築事務所ザハ・ハディド・アーキテクツが7日夜、声明を発表し、6日に遠藤利明五輪相が建築家・槙文彦氏と面会した事へ不快感を示した。

 ザハ事務所は先月27日、ザハ氏の署名入りで安倍首相に直談判の書簡を送っていたが、7日までに反応がない。そんな中、新国立建設の責任者遠藤氏が、原案反対派だった槙氏と面会したことに納得がいかなかった。以下、声明要旨。

 ザハ事務所は先日の遠藤五輪相と槙文彦氏の面談が、新国立の本質的な要求であるコスト効果が高く持続可能な国立競技場をスケジュールに合わせて完成させる、この目的について触れられていないと感じています。スタジアムのデザイナーとして選ばれたザハ事務所は、このプロジェクトと敷地についてとても多くの知識と経験を持っており、現実的解決方法を新たに提案できます。

 槙氏の提案は、単純にこの敷地により小さなスケールの建物を建てたいという彼の望みを示しているだけです。ザハ事務所と私たちの日本側パートナーは13年のデザイン初期段階において、仮設席を使った小さなスタジアムの提案を検討しました。しかしこのオプションは、固定8万席規模の国立競技場というクライアントの要求に合致しませんでした。この要求は専門家による20年以降の年間収益予測に基づいたスタジアムのビジネスプラン、またはJリーグなど主な将来ユーザー達の要求など、これらを合わせて導かれたものです。

 スタジアムの長期的なビジネスプランは、常に恒久的な座席数8万席から-。これが常にデザインのベースとなりました。現在の8万席を擁したデザインは、諸官庁の詳細な要件を満たしており、五輪・パラリンピックに必要な安全性やセキュリティーを20年以降も満たします。

 元のデザイナーである私たちは、今後変更されるであろう与件に合わせた変更を行う準備ができています。例えば、恒久的な座席数を減らした場合、それが国内、国際競技の開催にどんな影響を及ぼすか、例えばサッカーW杯が開催できるかといったことです。日本の国民と政府が、過去2年にわたって現在のチームがかけた時間、努力、そして投資を有効に使えば、20年の五輪・パラリンピックはもとより、当初の完成予定であった19年ラグビーW杯にも間に合わせることができるでしょう。

 私たちは既に安倍首相へ書簡を送り、返信を待っております。