プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月20日付紙面を振り返ります。2011年の1面(東京版)では卓球の「みうみまコンビ」、小4の平野美宇、伊藤美誠の史上最年少勝利記録更新のニュースを伝えました。

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<卓球:全日本選手権>◇2日日◇2011年1月19日◇東京体育館◇女子シングルス1回戦

 ダブルで愛ちゃん超えだ!! 一般女子の部で10歳の「小4コンビ」がともに1回戦を突破し、福原愛の11歳1カ月(小5)の史上最年少勝利記録を11大会ぶりに更新した。伊藤美誠(みま、静岡・豊田町スポーツ少年団)は、19歳の宮城県王者・松田亜由美(東北福祉大1年)に3-1で勝ち、10歳2カ月で達成。平野美宇(みう、ミキハウスJSC)も17歳の市原芹菜(高知・明徳義塾高3年)にストレート勝ちし、10歳9カ月で1勝した。プライベートでも大の仲良しの2人は今日20日、2回戦以降に臨む。

 時間がたつにつれて笑みがこぼれ、喜びが込み上げた。福原の最年少記録を大学生相手に更新した伊藤は「愛ちゃんの記録を塗り替えられて、すごいうれしい」。会見場。足がつかないイスの上で喜んだ。

 午前のジュニア女子2回戦で石川佳純の妹梨良に敗れ、ショックで挑んだ相手は宮城王者の松田(東北福祉大1年)。母美乃りさん(35)の「ジュニアは考えすぎちゃってた。美誠らしくやっておいで」の激励に応えた。24種類もある王子サーブを駆使して全力前進。3-1の完勝に「(相手が)左利きでやりにくかったけど、もうちょい競るかと思った」と笑った。

 両親が卓球選手で、試合に行くといつも卓球台の下に座っていた。そこにあったのはお菓子や塗り絵。それが自分からラケットを持つようになった。2歳。両親も静岡・磐田に自宅を建てる際、1階に卓球台を置くよう設計し直した。本格的に卓球人生が始まった。 福原は母千代さんの「1000本ラリー」で鍛えられたが、美乃りさんは「いろんな種類やコースを変えながら100本ラリー。それを数回やってきました」。基本と感覚を大事にし、はずまないボールで打たせたこともあったという。時間が来ても、気に入らないと自分からは決してやめなかった練習。福原に劣らない「負けず嫌い」は「ずっとうれしいばっかりじゃダメ。明日に備えて頑張る」と、大人顔負けに切り替えていた。

 伊藤より10分早く、3コート離れた先で平野が歓喜の瞬間を迎えた。高校3年生の市原(明徳義塾)にストレート勝ち。女子最年少優勝記録を持つ同高の佐藤利香監督が敵将として見つめる前で、144センチの少女が満面の笑みを浮かべた。そしてスタンドの母真理子さんに手を振って喜んだ。

 第1ゲームは4点を先取すると、そのまま突き放した。第2ゲームは持ち前の集中力を発揮。3度も追いつかれ、ジュースにもつれ込んでも慌てずに制した。最終第3ゲームは10-7から空振りに仕留め、一般の部で初勝利。平野は「相手も強かったからうれしい」とほおを赤らめた。

 2年前のジュニア女子で史上最年少出場と初勝利を挙げ、昨年は一般の部で史上最年少出場。次々と福原の記録を塗り替えた。そして初勝利でも福原の記録を1年上回り、「絶対破ってやろうと思った」。それでも真理子さんは「これで勝ったからって、愛ちゃん超えとはならない。おまけみたいなもの」と笑った。

 目指すところは世界だ。平野は「オリンピックの金メダルが目標」と言い切る。小学3年生から、中国出身で元世界ランク5位の陳莉莉さんをコーチにつけた。陳コーチは横浜の自宅から山梨まで月3、4回ペースで通い、鍛え上げる。そんな孫の姿に、沼津から駆けつけた祖母の後藤政子さん(72)は「気持ちが強い。私もいつまでも元気じゃなくちゃ。五輪に応援に行けない」と笑い飛ばした。

 この日は午前10時半の初戦から計5試合を戦い、終了は午後7時50分だった。ハード日程にも負けず、スーパー少女は「明日は2つ勝ちます」。どこまでも元気いっぱいだった。

 ◆全日本卓球一般の部の小学生勝利 伊藤美誠が10歳2カ月、平野美宇が10歳9カ月で初勝利し、史上最年少記録を更新した。従来は99年12月に2勝した福原愛(小5)の11歳1カ月。ほかには07年に前田美優(小5)が11歳7カ月で2勝している。今大会はほかにも小学5年生の加藤美優が高校生に勝って、11歳9カ月での1勝を挙げた。石川佳純は初出場の小6で2勝している。男子で小学生で勝った選手はいない。

※記録と表記は当時のもの