ぎっくり腰でも勝つ。リオデジャネイロ・パラリンピック男子66キロ級銅メダルの藤本聡(41=徳島県立徳島視覚支援学校職)が、W杯ウズベキスタン大会の代表権を獲得した。

 19歳下の斉藤大起に果敢に攻めて、技あり2つを奪って優勢勝ちを収めた。試合開始2分過ぎあたりから、声を上げるぐらいバテバテだったが、最後はベテランの意地を見せた。「斉藤くんも強くなっているけど、まだまだ負けない。経験値の差が出た」。試合後、藤本は誇らしげに振り返った。

 41歳。14日にはぎっくり腰になり、完治していない状態で出場した。リオ大会後は、試合で予測不能なことに対応するために「ゆとり」を持つことを意識した“異色トレーニング”を敢行。柔道から離れて、歌舞伎観劇やヒップホップグループET-KINGのライブ観賞、100キロ超のラグビー選手とスクラムを組むなどしている。「一流に触れる機会を増やすことで、自分の引き出しが増える。こういったことは間違いなく柔道につながる」。

 96年アトランタ大会から3連覇した大ベテランも、20年東京大会での引退を決めている。「日本武道館の一番高いところに立って、最高の景色を見て終わりたい。おじさん頑張りますよ」と、3年後に向けて闘志を燃やした。