フィギュアスケート女子の本田真凜(15=大阪・関大高)が、五輪シーズンのショートプログラム(SP)を初披露した。5日、栃木・日光市内での「プリンスアイスワールド」で赤い衣装で「タンゴ(ジェラシーとラ・クンパルシータ)」を演じた。ジャンプ構成は昨季SPと同じも、従来の静かな曲とは一線を画す曲を「挑戦」と表現。すでに披露したフリー「トゥーランドット」とともに勝負プログラムが出そろった。

 流れるような優雅さよりも、観客を圧倒する力強さを選んだ。本田が、勝負のSPを初披露した。この日のジャンプ構成はフリップ-トーループの連続、2回転半、3回転ループと昨季のSP「スマイル」と同じ。しかし漂うムードは全く違う。深い切れ込みが入った真っ赤な衣装、頭には1輪のバラ。タンゴ特有のステップを踏み、初披露のSPで会場の手拍子を呼んだ。

 「初めてこういう曲調のプログラムを使った。これまで、きれいな感じの曲が多くて、挑戦という部分はある。初めてで思ったよりもいい演技ができた」

 今季のシニアデビューを待って選択した。「タンゴ系をずっと使ってみたいと、3年ぐらい前から思っていた。タンゴ系の強い感じの曲、表現が好きで、得意で」。従来のイメージを一新する新境地にチャレンジ。この日は演技を終えて「もっともっと力強さを出せるところもある」とした。

 衣装もこだわった。「ほとんど自分のアイデアで提案している」。SPに赤と黒、フリーは赤と青を用意。フリーは06年トリノ五輪金の荒川静香さんと同じ「トゥーランドット」。7月7日のフリー初披露では赤を選択。同じ赤でも「違いがつけられるように」と細部に気を配って、作製を依頼した。

 今季は妹で女優の望結(みゆ、13)がジュニアデビュー。「普段、同じ時間の練習は少ないですが、この前、久しぶりに見て、すごくうまくなっていて刺激になった。あと1カ月、試合までに完成形をつくりたい」と本田。今季初戦USインターナショナルクラシック(9月13日開幕、米国)を見据えた。【益田一弘】