シニアデビュー戦に臨んだ本田真凜(16=大阪・関大高)が、衣装を忘れるハプニングを乗り越え、66・90点で首位発進した。

 衣装をホテルに忘れたことに気付いたのは6分間練習に出る約15分前。「やばい、かけたまんまや!」。午前の練習が終わった後1度宿に戻り、シワにならないようにとハンガーに掛けたままだった。すぐに持ってきてもらえるよう手配し、会場に衣装が到着したのは、練習のわずか3分前だった。

 そわそわしながら6分間練習をこなしたが、3番目で出番が訪れ、名前がコールされると「楽しい気持ちを抑えられなかった」。SPの曲は「スマイル」。柔らかな笑顔を浮かべて滑り出すと、ジャンプもスピンも流れるように次々と決めていった。ノーミスで滑りきると、ほっとしたように両手を天へ。「緊張とか、体力面の不安とかが全部ふっとんで、いい演技ができた」と、思わぬアクシデントを力に変えた。

 今季は1度、タンゴ曲でSPを作ったが、8月中旬に「これだ!」と直感する運命の曲に出会い、曲変更を決意。今大会後にそのまま振り付けに行くため、今大会は昨季の「スマイル」で滑った。「もう1度この曲で滑れるとは思っていなかった。ラストの『スマイル』で納得する演技ができて良かった。私はシニアデビューで失うものが無いので、(結果を)狙っている時より、魅せる場所をアピールしながら滑れました」。無邪気な本田真凜の魅力を十分に発揮したシニアデビューとなった。