10月27日、メキシコGPのフリー走行1回目と2回目が行なわれ、メルセデスAMCとレッドブルが僅差で首位を争いダニエル・リカルドが1分17秒087の最速タイムを記録した。路面のダスティさと50度近くまで上昇した路面温度のためグリップレベルが低く、スピンやコースオフが続発するセッションとなったが、大きな事故はエステバン・オコンに代わってフリー走行1回目にスポット出場した地元メキシコのアルンフォンソ・セリスがクラッシュした以外には見られなかった。

 標高2200メートルのメキシコシティは空気が薄く、その影響でダウンフォースが低下する車体面でも、パワーが低下するパワーユニットとしても不利を予想していたマクラーレン・ホンダだったが、フェルナンド・アロンソがトップから0.707秒差の7番手タイムを記録するなど速さを見せた。

 「このサーキットでここまで競争力があるとは思っていなかったし、いろんなテスト項目もこなすことができてとても良いポジティブな1日だったよ」

 ストフェル・バンドールンはフリー走行1回目の走行開始直後にパワーユニットの燃料系データに異常が見られたため、念のため土曜から使用予定だった中古のパワーユニットに交換。メキシコのアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスは初体験だったバンドールンにとっては貴重な走行時間を失うこととなったが、フリー走行2回目はフルに走り32周をこなすことができた。

 ホンダの現場運営を統括する中村聡プリンシパルエンジニアは、予想していたほどの苦戦にはならなかったと安堵(あんど)の表情を見せた。

 「マクラーレンともども、メキシコではかなり苦しい戦いになると予想していましたが、高速コーナーでのマシンバランスが良かったようで予想以上に良い走りができました。明日は他メーカーがパワーを上げてくるかもしれませんから、まだこのまま行けるかどうかは分かりませんが、予選ではQ3が狙える位置にいるのではないかと思っています」(米家峰起通信員)