卓球界の「あしながおじさん」だ。元日本代表監督で、ヘアケアメーカー、スヴェンソンの兒玉圭司会長(82)が日本卓球協会などに5000万円を寄付することが30日、分かった。日本協会に4000万円、日本学生連盟に1000万円を贈る。個人としては異例の巨額寄付金になる。

 兒玉氏は明大3年で世界選手権に出場すると、29歳で代表監督に就任。同時に経営者としても活動してきたが「努力は才能に勝る。努力の量は質に転換する。絶対あきらめない執念」など卓球で学んだことが経営理念の根幹をなしている。「卓球のおかげで、今の自分がある。感謝の気持ちが強い」と寄付を決断した。

 選手、監督時代は日本が金メダルを取れる時代だった。だからこそ、80年代から続く中国の金メダル独占状態が許せない。「悔しくて悔しくてね。コーチ陣も含め、少しでも負け犬根性が出たら勝てる試合もやられる」と戒めた。打倒中国へ「(寄付金を)強化に役立ててほしい」と、金メダル奪還を強く願った。

 25歳から明大総監督を継続し、今も選手に指示を出す。昨年リオ五輪では大学の教え子の水谷隼、丹羽孝希、女子では石川佳純らにラインで何度も激励のメッセージを送った。「(時差の関係で)深夜にたくさんラインをしたので、頸椎(けいつい)を痛めた」と苦笑いした後、こう続けた。「でもリオで、日本は中国の背中を完全にとらえた。そんなに差はない」。いまだ衰えぬ卓球への熱意も寄付金に込められている。

 ◆兒玉圭司(こだま・けいじ)1935年(昭10)1月27日生まれ、東京都出身。明大3年だった56年世界選手権男子シングルスでベスト16。65、73、75年世界選手権は日本代表監督として臨み、計金4、銀2、銅10個のメダルを獲得。北京で開かれた72年アジア選手権では代表監督として7種目中4種目で金メダルをもたらす。84年にスヴェンソン創業。15年10月に社長から会長に就任。現在も明大卓球部総監督で、日本協会評議員も務める。