日本一人口の少ない市から苦労人が五輪へ! 男子大回転で、人口約3400人の北海道・歌志内市出身の石井智也(28=ゴールドウイン)が3季ぶり3度目の優勝。18年平昌(ピョンチャン)五輪代表に大きく前進した。

 石井は、1本目にただ1人、54秒台の54秒50でトップに立つと、2本目も51秒86で最速タイムをマーク。合計1分46秒36で、「しっかりと準備をしてきた。その結果が出た。子どもの時から五輪は目標だったからうれしい」と、完全優勝で、初の五輪代表が有力となった。1月のW杯大回転(スイス)で、日本男子が8位以内に入らなければ、石井の五輪出場が決まる。

 ジュニア時代は、北海道・北照高の先輩に当たる皆川賢太郎、佐々木明を上回る逸材と言われた。05年の全日本中学で大回転制覇。08年高校総体では回転、大回転の2冠を達成すると、09年には、世界ジュニア選手権回転で3位に入り、日本男子史上3人目の表彰台に立った。

 その世界ジュニアで優勝したのが現在、世界で絶対的な強さを誇り、W杯歴代4番目の49勝を上げているヒルシャー(オーストラリア)だ。その彼と同じ表彰台に立ったわけだ。しかし、その後、右ひざの靱帯(じんたい)断裂や腰椎ヘルニアなど、けがを多発し、世界との差は大きく開いた。15~16年シーズンからは、全日本スキー連盟の強化指定選手も外れた。

 昨季の12月には左ひざ前十字靱帯(じんたい)と、外側側服靱帯(じんたい)の2本を断裂。さすがに「(選手生活は)終わったと思った」。しかし、懸命のリハビリの末、わずか11カ月でレースに復帰。不屈の闘志で、ついに五輪のひのき舞台が目前と迫った。