レバンガ北海道が89-72でサンロッカーズ渋谷を下し、東地区5位に浮上した。2年目のダニエル・ミラー(26)が第3クオーター(Q)に来日通算100ダンクを達成するなど、厚い攻撃でライバルを撃破。チャンピオンシップ(CS)のワイルドカード争いでも、圏内の栃木に1勝差とした。残り13試合で逆転進出を目指す。この日の観衆3360人で、11年のチーム創設以来のホーム入場者数が40万人に到達した。

 第2Q残り2秒5。マーク・トラソリーニ(27)が勝ち越しダンクを決めて両手でリングにぶら下がると、大歓声でアリーナが震えた。CS進出を争うSR渋谷との直接対決。ファンも選手もスタッフも、一体で黄緑軍団の背中を押した。第3Qはミラーが来日100回目のダンクで魅了した。水野宏太監督(35)は「みなさんの声援のおかげ」とスタンドを見回しながら言った。

 観衆3360人が集まった。同じ北海きたえーる開催だった14年2月の日曜日に入場者1290人だった試合があり、この日は平日のナイターながら、3倍に近いファンが会場を埋めた。今季のホーム平均入場者数はリーグ2位。着実に注目度は上がった。折茂武彦選手兼社長(47)は「会場でバスケットボールを見る文化が、ようやく北海道に根付いてくれたように思う。収益の柱ですし、クラブとしても本当にありがたい」と感謝を口にする。

 25シーズン目のレジェンドが君臨し続けられるのも、ファンの支えがあるから。北海道に選手・折茂が現れて11年目。常勝トヨタ自動車で戦った月日にはまだ届かない。それでも「トヨタの14年間は、自分のためのプレーだった。誰か(北海道のファン)のために戦える今の方が、はるかに充実感がある。だからこうして(現役を)続けられる」という。

 試合開始20分前に、40万人目で入場した古田誠さん(42=札幌市在住)は「折茂選手のプレーが見たくて、初めて観戦に来ました。本当にうれしい」と顔をほころばせた。試合終了1分前に田原隆徳(23)が左から3点シュートを決めて全員得点。「次も大声援で勝ちましょう」。折茂とともに北の大地で11年を戦い、この日のMVPに輝いた盟友・野口大介(34)が、大声で叫んだ。【中島洋尚】