男子で初優勝した池慧野巨(いけ・けやき、17=大阪府)は「優勝はラッキー」と笑顔で話した。予選では安定したランを見せたが、決勝1本目はミスを連発して131点。2本目は最初のトリックでのミスを引きずらずに234点を出し、1本目トップの小鈴大和(17)を逆転した。

 昨年の第1回は決勝にも残れず、今回も出場は乗り気ではなかった。「(東京は)遠いし。でも、おとん(父建徳さん)に4位以内でいいと言われて」エントリー締め切りギリギリに強化指定選手となる4位以内を目指して出場を決め、アジア大会代表の座まで手にした。

 小1の時にスケボーを始め、その魅力に取りつかれた。小2からは建徳さんが自宅の庭にレールやパイプなどセクション(障害物)を並べて作った40坪(約132平方メートル)の「特製スケートパーク」で夜遅くまで遊んだ。「トリック(技)は世界に通用するレベル」と、日本代表の西川隆監督(52)も絶賛した。

 アジア大会は「どんなものか分からん」。無理もない。2年前までは、五輪とも無縁の世界で技を磨いてきた。アジア大会も「アジアの人が出る大会」(池)ぐらいの知識しかない。アジアのレベルと比べて日本選手の金メダルは確実ともいわれるが「無理」とそっけない。それでも「外国人には負けんように、頑張りたい」と言った。

 初めての日本代表。2年後もその位置にいれば初の五輪代表になるが「出れたら、いいんちゃう」と関心は薄い。世界最高峰のストリートリーグで活躍する堀米雄斗(19)、FISEモンペリエ大会に招待されて欠場した昨年の優勝者、池田大亮(17)らライバルに対し「あいつら、めっちゃうまいから」。

 「腰パンは怒られるぞ」と言われ「あかんか」と驚いてみせた。まだまだ「日本代表」という意識はないが、スケボーを楽しみたい気持ちは強い。「大きいセクションが好き。知らん人が見ても、すごいと思うような技を決めたい」と、競技としての「国際大会デビュー」になるアジア大会を目指して話した。