アルバルク東京が千葉ジェッツに勝利し、過去も含めクラブ通算5度目のリーグ優勝を果たした。A東京のエース田中大貴(26)が攻守ともにチームをけん引し、MVPに選ばれた。普段はクールな男が、この日ばかりは「勝利の余韻に浸らせてください」と言うほど、表情を緩ませて初めてのビール掛けに喜びを爆発させた。

 田中は20日のシーホース三河との準決勝で左太ももの肉離れのけがを負った。「正直どうなるか不安だった」。準決勝以降は回復を優先し、チームの練習に合流したのは決勝前日。しかしけがの影響を全く感じさせない躍動感あふれるプレーで自身初のリーグ優勝の栄冠を手にした。「今はほっとしている。素直にうれしい」と、感情を抑えきれずに言葉をつむいだ。

 今季から指揮を執るルカ・パビチェビッチ監督(49)とともに歩んだ10カ月。田中が「完璧主義者」と言うほど、パビチェビッチ監督の細かく熱のこもった指導で、激しいディフェンスと緻密な攻撃スタイルを確立してきた。「彼(監督)の求めるレベルは高い。でも監督のその期待に応えたいと思った。途中『これでいいのか?』と悩んだこともあったけれど、試合に対して相手を徹底的に分析する監督の力は大きい」。決勝のカードが決まると、千葉との決勝に向けて、千葉の試合によって変わるディフェンスのシミュレーションを何度も重ねた。「今日も千葉の守備に対してはほぼ完璧に対応できた。どこで相手がスイッチ(守備プレーヤー同士がマーク対象を交換すること)するかもわかっていた」。

 A東京の激しいディフェンスで、千葉の得意とする速攻も封じ込めた。速攻から決めたシュートは、A東京が13本なのに対し、千葉は4本。「ディフェンスの勝利だと思う」と田中は完勝に胸を張った。