東京で、東京への足がかりをつかむ。競泳男子の幌村尚(19=早大)が、パンパシフィック選手権で満を持して代表デビューする。4月の代表会見では萩野、大橋、池江らと並び、がちがちに緊張。「この会見よりも、試合の方が緊張しないよ」と萩野に気遣われ「萩野選手の言葉を心に刻んで頑張ります」と生真面目に答えて会場を笑わせた。

 まだ初々しさが残るが、実力は折り紙付き。日本選手権男子200メートルバタフライでリオ・オリンピック銀の坂井、昨年世界選手権銅の瀬戸を破って初優勝。自己記録1分53秒79は今季世界ランク2位。昨春の早大入学から1年半で自己記録を2秒19更新。まさに伸び盛り。

 3歳で水泳を始めた。小学校時代はプールサイドで「泳ぐのが嫌だ」とすぐに泣いた。ご褒美に買ってもらえるアイスクリームにつられて、嫌々ながら通った。ただ水に入れば、ぴたりと泣きやんだという。身長170センチと小柄ではあるが、抵抗が少ない水中姿勢と力強いキックがぐいぐい進む。今でも自己ベストは自由形よりバタフライが速いという、珍しいタイプだ。

 リオ後に頭角を現した新星スイマー。6月に痛めた右肩に不安が残るが、初代表即メダルの可能性もある。【益田一弘】(おわり)

 ◆幌村尚(ほろむら・なお)1999年(平11)1月31日、兵庫県西脇市生まれ。3歳で水泳を始め、西脇工から昨春に早大進学。得意は200メートルバタフライで15年世界ジュニア選手権V。今年4月の日本選手権で初優勝。自己記録は1分53秒79。170センチ、68キロ。