世界王者の阿部一二三(21=日体大)が連覇を果たした。

初戦から前にでる自分の柔道を貫徹。決勝は妹詩と同じ内股で一本勝ちした。

「次は自分がやるしかない。妹の優勝で覚悟がよりいっそう決まった」。

決勝前に大きな刺激を受けていた。妹詩(18=兵庫・夙川学院高)が志々目愛(24=了徳寺学園職)との日本人対決を制し、18歳2カ月で世界女王の称号を得ていた。93年大会を18歳0カ月で制した谷亮子(旧姓田村)に次ぐ快挙。兄の意地にかけても連覇は譲れなかった。

昨年の世界選手権とグランドスラム(GS)東京大会を制し、全日本柔道連盟が新導入した選考方法により昨年12月に今大会の代表に内定。

約9カ月間は日体大を拠点に独自の調整を続け、今年1月には欧州単身修行を敢行して心身を鍛えた。20年東京五輪まで「負けなし」の目標を掲げていたが、7月のグランプリ(GP)ザグレブ大会では国際大会で3年ぶりとなる黒星を喫した。「負けて得ることも多い。まだまだ強くなれる」と前向きに捉えて「挑戦者」として課題を克服し、今大会に臨んだ。豪快な柔道を取り戻した21歳が世界に「絶対王者」であることを証明した。「東京の金メダルしか見ていない。どこからこらえても負けないように。チャンピオンらしくしたい」。きょうだいで東京オリンピックへ突き進む。