世界12位の錦織圭(28=日清食品)が、16年2月のメンフィスオープン以来2年8カ月ぶりのツアー12勝目に残り2勝と迫った。同15位のステファノス・シチパス(ギリシャ)を6-3、6-3のストレートで下し、1セットも落とさずにベスト4に進出。準決勝では同25位のガスケ(フランス)と対戦する。

錦織が18歳でツアー初優勝を飾ってから、もう10年がたった。20歳の相手からみれば、すでに経験豊富なベテランに近い。8歳違いの落ち着いた大人のプレーで「思い通りのプレーができて、てこずる場面がなかった」と、錦織に言わしめた。

相手は、193センチの大柄な体格を武器に、若さとパワーで回転をかけた球種で押してくる。しかし、錦織は最後まで冷静だった。「やることはしっかり頭に入っていた。劣勢になる場面もなかった」と、安定したショットで快勝だ。

試合前の選手紹介だった。相手の生まれたのが98年。それを聞いた錦織は「最近じゃん」と、少し驚いた。同時に、年を取ったというより、自分の若い時を思い出していたという。「18歳の時の試合中のメンタルや試合の入り方だったり。今と確実に違う」。

当時は、怖いもの知らず。若さの思い切りの良さもあった。しかし、今は「落ち着いて、何かどっしり構えていられる」。09年に右肘、17年に右手首のケガでツアーから離脱。なかなか勝てない時期もあった。「いろいろ経験できて今がある」。その差を、この日、見せつけた。

次戦は、ガスケが相手だ。08年のジャパンオープンで初対戦。「尊敬しすぎて負けた」と名言を残して以来、2勝7敗と大きく負け越している。しかし「最後まで残っていられるように頑張りたい」。16年メンフィスオープン以来の優勝は譲れない。【吉松忠弘】

◆WOWOW放送予定 6日午後1時55分から。ともにWOWOWライブ。シングルス準決勝ほか。生放送。