帝京長岡は中部大第一(愛知=総体2位)に58-79で負け、3年連続の4強どまりで進撃はストップした。

5年連続出場ながら初の1回戦からの登場。連戦で蓄積した疲労を度外視してコートを走ったが、32-41で迎えた第3クオーター(Q)からジワジワ引き離された。今日29日の3位決定戦は桜丘(愛知)と対戦。準決勝の相手と同じ愛知勢にリベンジする。

コートを走るメンバーの足に、準々決勝までのスピードと切れがなかった。1回戦から準々決勝までの4日間4試合で得点とリバウンドのダブル・ダブルの活躍していたPG神田龍一(3年)は両足のテーピングが痛々しい。試合中には右腰を痛め、足を引きずった。第3Qの8分。SG品川廉椎(れつ=3年)が、右足首をひねって戦線離脱する。疲労と故障のダブルパンチに見舞われ、後半はズルズル引き離された。柴田勲監督(49)は「競り合いのゲームの連戦で体は痛んでいる」と話した。

もっとも、4強入りは過去2年の先輩たちの成績に並んだ。インターハイの出場を逃したチームは全国ベスト4まで浮上した。昨年の先発メンバーは全員卒業し、戦力大幅ダウンからのスタートだった。6月の県高校総体決勝も、全国総体で優勝した開志国際に54-75の21点差で完敗していた。

そんな状況で柴田監督がまず、変わった。「鬼監督」の顔を捨てた。「子どもたちが苦しい時に『ダメじゃないか』と厳しい言葉で追い込みすぎた。今は雰囲気をつくるように気をつけている」。選手たちが伸び伸びやる環境作りに気を配った。その指導がようやく冬に結実した。

学校創立110周年の今年、チームは「ONE」というテーマを掲げた。「1位」「1戦1戦」という意味を込めた。以前から掲げていた「一心」にもつながるスローガン。柴田監督は「今年の干支(えと)は、いぬ年だから」と犬のほえ声(ワン)に例えたが、狙っていたのは優勝だけ。新調したユニホームの襟元には「ONE」の文字が縫い込んでいた。アシスタントコーチとしてベンチ入りしている浅川節雄校長(70)のネクタイにもONEの文字があった。

それだけこだわった全国優勝だったが、3年連続で準決勝の壁にはね返された。21点差の敗戦に、PG神田龍は「チームで守る相手の守備はすごかった」と完敗を認めていた。【涌井幹雄】