バスケットボール界のレジェンドが金字塔を打ち立てた。レバンガ北海道の選手兼社長、折茂武彦(48)が国内トップリーグ通算1万得点を達成した。大台に残り6点で迎えたシーホース三河戦で国内のトップリーグ史上3人目、日本出身選手として初の偉業達成。93-94シーズンにトヨタ自動車(現A東京)でキャリアをスタートして足かけ26年。チームは59-69で敗れたが、Bリーグ理事も務める現役最年長選手が大記録に到達した。

「折茂!折茂!」。通算1万点を達成したレジェンドに敵地では異例の盛り上がり。「今まで支えてくれた全ての方々のおかげだと思っている。本当に感謝しています」。コートに立ち続けて26年。喜びをかみしめた。大台到達は第4Q。キレイな弧を描いて決めた。リードを許す展開に「ほっとすることもなかった」。表情は変わらなかったが、そっと目を閉じて右手人さし指を天に向けた。

昨年6月に母豊子さん(享年73)を亡くした。「褒められることもなく厳しかったけど、一番応援してくれていた。母親にささげる1万点でいいのかな」。トヨタ自動車入団は93年。日本一、MVP、日本代表として世界選手権(現ワールドカップ)に2度出場など、華やかなキャリアを積んできた。転機となった07年、北海道であこがれだったプロ選手として再出発。母は厳しく「恥ずかしい姿を見せるなと言われたこともあった」。

11年に運営会社の社長に就任。スーツを着て支援者へのあいさつ回りも行い、肩書が変わってもコートに立ち続ける。開幕直前の昨年9月に北海道胆振東部地震が発生。「いつも応援してくれる北海道に元気を届けたい」と使命感がある。

今季30試合出場で171得点。チームは東地区最下位と低迷しているが実力は確か。「やめる理由がない。まだまだ自分自身プロ選手として貢献できると思っている。年齢に縛られたくない。2020年の東京オリンピックを目標に、現役である以上は頑張っていきたい」。リーグ最年長選手は伝説を刻み続ける。【浅水友輝】

◆折茂武彦(おりも・たけひこ)1970年(昭45)5月14日、埼玉県上尾市生まれ。埼玉栄高2、3年の総体に出場し、3年時に8強&得点王。日大に進み、主将だった4年のインカレで優勝&MVP。93年日本リーグのトヨタ自動車入りし、日本代表にも初選出される。94年アジア大会で銅メダル、98、06年に世界選手権出場。07年レラカムイ北海道に移籍し、現在はレバンガ北海道の選手兼社長。ポジションはガード、背番号は9。17年9月からBリーグ理事も務める。190センチ、77キロ。

◆通算得点メモ 国内のトップリーグ通算1万得点到達は折茂で3人目になる。最多は千葉のマイケル・パーカー(37)で、5日滋賀戦の17得点を含め1万1225点。三河の桜木ジェイアール(42)が1万400点で続く。米国出身の上位2選手はともに日本国籍を取得している。