白血病を公表した競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)とともに日大に入学する吉田啓祐(18=日大豊山)が、男子400メートル自由形で優勝した。182センチと恵まれた体格と長い手足が武器。昨年11月の北島康介杯では、同種目で萩野公介に競り勝つなど20年東京五輪も視野に入る。今春から同級生になる池江の回復を待ちながら、4月の日本選手権で代表入りして、7月の世界選手権韓国大会で表彰台を狙う。

   ◇   ◇   ◇   

淡々と受け答えしていた吉田が、池江について問われると力が入った。「同級生なのに日本新とか出して、世界で戦っている。僕もそういう風になりたいと思います」。突然の発表に驚きと悲しみが襲ったが、今大会前にLINEで連絡した。「治ったらボウリングに行こうねっ、て送ったら『頑張ってね』みたいな感じでした。いつも通りだったから、僕もいつも通りいこうと思いました」と気持ちを入れ直した。

諦めずに勝ちきった。300メートルまでは追う展開だったが、182センチの長身と長い手足でぐいぐいと水をかき、テンポのいい大きなストロークで進み続けた。350メートルの折り返し前にトップに立って逆転。「ちょっとやる気が足りませんでした」と首をかしげながら自虐的に言って苦笑い。これまでレース展開や技術面を深く考えたことがないという天然系。「とりあえず目立ちたいという感じです」と、報道陣を笑わせた。

実力は折り紙付きだ。400メートル自由形が得意で、昨年4月の日本選手権は高校生で唯一、表彰台の3位に入った。同11月の北島杯では萩野を破って優勝を飾った。今大会前には16年リオ五輪800メートルリレー銅メダルの江原と一緒に練習して「スピードも技術も意識も全然違う」と世界と戦うトップの力を肌で感じた。

200メートル、400メートルでの日本代表入りを目指すが、20年東京五輪は男子800メートルが新しく採用されており、そこでも五輪が狙える逸材だ。「オリンピックは夢。出るだけではなくて戦える選手になりたい」。池江と同級生の新星が東京五輪を目指す。

【佐々木隆史】

◆吉田啓祐(よしだ・けいすけ)2000年(平12)4月17日、佐賀県唐津市生まれ。4歳から水泳を始め、日大豊山高進学時に上京。昨年10月のユース五輪では自由形で400メートル銅、800メートル銀。400メートル自由形の自己ベストは3分48秒68。182センチ、72キロ。