陸上男子走り高跳びの戸辺直人(26=つくばツインピークス)が23日、日本新記録2メートル35をマークした欧州遠征から帰国した。

4月から日本航空にアスリート社員として入社することが同日、同社から発表された。「跳ぶ」高さを競う種目に打ち込み、名前は「戸辺」。“申し子”は所属も空を「飛ぶ」会社となり「名前負けしないようにしっかり跳んでいきたい」。拠点は引き続き筑波大に置く。

注目度は“急上昇”。2日にドイツで行われた世界室内ツアー第2戦で2メートル35を跳び、日本新記録を13年ぶりに2センチ塗り替えた。20日の最終戦も2メートル34の好記録で制し、同ツアー日本選手初の総合V。室内と屋外で条件が違うとはいえ、16年リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)の銅メダルは2メートル33。世界選手権も含め、同種目で日本勢初のメダルを狙える存在となった。助走の歩数を6歩に固定し、踏み切り時に両腕を上げていたフォームを右手1本に変えるなど変化を求め、飛躍した。

194センチの大型ジャンパーは「2メートル40を目標にやっていきたい」と目標を“高く”設定する。世界歴代7位タイの記録で、リオ五輪(優勝2メートル38)と17年世界選手権(同2メートル35)の金メダル記録をも上回る。「(今季中に)出せると思いますし、出したいと思います。今の世界での立ち位置を東京五輪まで維持し、本番ではメダル獲得、優勝を目指したい」と力を込めた。

課題は“テークオフ”の位置。遠征では2メートル37に挑戦したが失敗。高さは十分だったが、踏み切り位置が理想より約30センチ前となり、バーを引っ掛けた。日本新記録の跳躍さえ「あれも、これもできていないけど跳べた記録」と言う。踏み切りや空中姿勢など伸びしろは多い。1年半後に迫った大舞台で、東京の空を舞う準備を整えていく。【上田悠太】

◆戸辺直人(とべ・なおと)1992年(平4)3月31日、千葉・野田市生まれ。野田二中で全国中学大会を制す。専大松戸高でも高校総体で優勝し、新潟国体では2メートル23の高校新記録を樹立。日本選手権は11年、15年の2度V。15年世界選手権は2メートル26で予選落ち。16年リオ五輪、17年世界選手権は出場ならず。今回の遠征出発前に「158ページ」の筑波大大学院の博士論文「走り高跳びのコーチング学的研究」を提出した。194センチ、72キロ。