柔道男子60キロ級でリオデジャネイロオリンピック(五輪)銅メダルの高藤直寿(26=パーク24)が9日、5カ月ぶりの復帰戦で優勝したグランプリ(GP)モントリオール大会から帰国した。

腰のケガ明けで4試合をオール一本勝ち。一瞬の相手の重心の偏りを見逃さない投げ技が際立つ展開で、決勝では昨年の世界選手権決勝で優勢勝ちしたロベルト・ムシビドバゼ(ロシア)に1分27秒左内股で下す圧勝だった。

ただ、本人は「外国人のレベルが低い。ここでホッとするわけにはいかない」と慢心なし。世界ランク上位がそろった大会だったが、海外勢に脅威と感じる存在はおらず、3連覇を狙う世界選手権(8月、日本武道館)に出場する後輩の永山竜樹(23)の名前を挙げ、「しっかり対策をしていく」と照準を合わせた。

故障で4月の全日本体重別を欠場したことで、「永山から逃げている」という声も聞こえてきたという。60キロ級では世界選手権2連覇中、永山とは直近で2戦2勝と退けていながら、8月の世界選手権(日本武道館)には2人目の枠で永山が選ばれたことに疑問を隠さない。「次の自分の試合をみていろと。そこは逆に力になった」と気合が乗った部分もあったという。

東京五輪の代表争いでは、世界選手権3連覇でけりをつけたい。今回は快勝続きで寝技を試す機会もなく、それが心残りとしながらもしっかりと勝負勘を養えた。「まだまだ研究していく」と技を磨き、勝負の真夏を迎える。