【東莞(中国)6日=松熊洋介】バスケットボール男子W杯1次リーグE組で米国に敗れ3連敗となった日本は、エース八村塁(21)が7日と9日に行われる順位決定リーグ2試合を欠場することになった。

大会直前に発熱、さらにW杯期間中に膝の不調と疲労を抱えていた八村は、米国戦でも精彩を欠き4得点。日本バスケットボール協会とウィザーズが協議し、決定した。八村は今後、しばらく休養し、9月末のNBAトレーニングキャンプに向けて調整する。

また篠山も米国戦で足を負傷し、残り試合の欠場が決まった。八村と篠山は6日、代表とは別行動を取り、試合会場での練習に現れなかった。7日ニュージーランド戦は2人を欠き、10人で戦う。

米国戦のダメージは予想以上に大きかった。攻守の要だった八村と精神的支柱だった篠山が離脱という試練。篠山とダブル主将を務めていた渡辺は「塁の得点力と(篠山)竜青さんのリーダーシップが抜ける分、自分がしっかりしないと」と危機感を募らせた。

富山・奥田中の先輩である馬場は八村から「申し訳ない。(これからも)日本一丸となって頑張りましょう」とエールをもらったことを明かし「塁も苦渋の決断だったと思う。その分自分が頑張らなければ」と決意をあらわにした。

ニュージーランドとは8月の国際試合で対戦し、1勝1敗。ラマス監督は「順位決定リーグもW杯に変わりはない。2人の離脱は痛いが、下を向かずに勝ちに行く」と力強く語った。アジア予選の時から篠山と八村がずっと掲げてきた「日本一丸」。残ったメンバーが1つになって、2人の思いを勝利に変える。

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八村はやはり本調子ではなかった。米国戦では課題としていたディフェンスで貢献。「強化していた中でスチールが2つ取れてよかった」と振り返ったが、攻撃では動きが鈍かった。第3クオーター(Q)まで24分の出場で、シュート8本で成功はわずか2本。エースとしての働きは影をひそめた。ただ、不調でも見せ場をつくるのが八村だ。第3Q中盤、ボールを持った八村は「前が空いていたので」と中央に切り込み、右手で豪快に3試合連続のダンクシュートを決めた。

試合後に暗い表情で語っていた八村が唯一、笑顔になる場面があった。富山・奥田中の先輩で、18得点を挙げた馬場雄大について聞かれた時だった。中学時代からのあこがれで、普段から仲もよく、トルコ戦後には一緒に食事をして士気を高め合った。馬場も海外志向が強いことは知っており「この試合で活躍して欲しかった。NBAのコーチも見ていたし、いいアピールになったと思う」と語った。

6月のNBAドラフト1巡目で指名され、生活が一変した。休みの日はイベントに引っ張りだこ。若さで乗り切ろうとしたが、疲れはたまった。中国入りしてすぐに発熱で不安視されたが、不調の原因はもっと前からあった。日本をプレーで引っ張ることはできず無念のリタイア。「来年には東京五輪もある。ウィザーズも日本も自分がベストな状態になれるように最大限の協力をしてくれると信じている」とコメントした。

月末にはウィザーズに合流。万全の状態に戻し、開幕ロースター入りをかけた戦いに、志半ばで離脱した悔しさをぶつける。