20年東京パラリンピックで08年北京、12年ロンドンに続く3度目の金メダルを狙う世界2位の国枝慎吾(35=ユニクロ)が、改修された東京パラリンピックの会場で初めての栄冠を手にした。

同6位のオルソン(スウェーデン)に6-0、6-2のわずか54分で圧勝。出だしからオルソンの不調につけ込み、一気に9ゲームを連取して、記念すべき第1回大会の王者となった。「日に日に、自分のレベルも上がっていった。これだけたくさんのお客さんの前で勝ててとても満足」。

実は、今大会の創設に、国枝自身も奔走した。車いすテニスは世界ツアーがあるが、一般のテニス大会と一緒に行われるのは4大大会だけと言ってもいい。一般の男子のATPツアーや、女子のWTAツアーの大会とともに行われるのは、数えられるぐらいだ。

「ATPの大会で車いすテニスの大会をやるのが、車いすテニス選手の念願だった」。楽天ジャパンオープンで車いすテニス大会を開催する構想は、数年前からあった。国枝自身も「何度も関係者にお願いしてきた」。それが今年、実現したが、大会のレベルは4大大会を頂点とした6段階中4番目。国枝や、決勝で対戦したオルソンは出場しない規模だ。

しかし、国枝は世界を転戦しながら出場選手をリクルートした。自らも出場することで、日本で初めて開催されたATPツアーとの共催を助け、日本での車いすテニスの普及に尽力した。そして、何より、自ら優勝することで、その存在を、パラリンピック前に知らしめた。