【シュツットガルト=阿部健吾】体操の世界選手権は男子団体総合決勝が行われ、日本は6種目合計258・159点の3位で終えた。ロシアが261・726点でソ連時代以来28年ぶりの優勝、中国が260・729点の2位で2連覇を逃した。

昨年と同じ順位だが、水鳥寿思監督は「この1年やってきたことで4点近く(得点を)上げられた。大きな成長があった。希望は感じられた」と前向きにとらえた。1年前は上位2カ国に難度でも出来栄えでも「ここまで差があると痛感させられた」。この日の決勝では技の難しさを示すDスコアでは3カ国に大きな差はなかった。

日本は現地入りしてからの練習で谷川航(23=セントラルスポーツ)が左足首を負傷。弟翔(20=順大)も予選で左太ももを痛め、ベストオーダーを組めない中での決勝だった。それでも、この大会で中核として実力を示す萱和磨(22=セントラルスポーツ)が6種目を演技。うち5種目でトップバッターを務めながら、大きなミスなく通しきり、「任せられてうれしかった。ここで出来ないなら東京でもできないと思った。絶対に崩れないと、毎種目、毎種目、強い気持ちで臨めた」と自信を深めた。

谷川航も得点源の跳馬では「ケガしてから初めてだった」というブラニクに挑み何とか立った。「チームに申し訳なかった。痛みはやるしかなかった」という覚悟の1本を決めた。予選では4種目でチーム最高点だった新星の橋本大輝(18=市船橋高)は最後の床運動で尻もちをつく失敗に、「みなさんが耐えて耐えてつないできた流れを台無しにしてしまった」と悔し涙を流したが、総じて見れば日本にとって大収穫の度胸と好演技を並べてみせた。

結果はロシアとは3・567点差、中国とは2・570差。平行棒とゆかでミスがあったことも考えれば、昨年より悲観する結果ではなかった。同監督は来年の東京五輪を見据え、「4人がやりきれば金が見えてくる」と言及した。