NBAウィザーズ八村塁(21)の妹安美菜(3年)の高校最後の大会が終わった。明星学園(東京)は終了残り数秒でのタイムアウト。監督の指示を受け、コートに戻ったが「これで終わるんだなあと」と逆転できないことを悟り、自然と涙があふれてきた。終了のブザーを聞くとユニホームで顔を覆った。「個の力は強くてもかみ合わずチームが1つになれなかった」と肩を落とした。

第1クオーター(Q)途中からセンターで21分34秒出場。6得点に終わったものの、174センチの身長を生かし、兄をほうふつとさせるチーム2位の8リバウンド。ゴール下で激しく相手と競り合い、何度も攻撃の芽をつんだ。それでも自分のプレーに納得がいっておらず「ディフェンスは相手の方が上だった」と負けを認めた。

NBAで活躍する兄塁にも刺激を受ける。7月下旬のインターハイでは多忙なスケジュールの中、鹿児島まで応援に来てくれた。一緒に食事もし、つかの間の家族水入らずの時間を過ごした。それ以来会ってはいないが、現在は直接ではないが母親を介して連絡を取り合っているという。ウィザーズの試合もよくチェックしており「想像以上に活躍していてうれしい」と笑みを見せた。

兄の背中を追い、中学から始めたバスケットボール。椎名コーチが「潜在能力がある」と認める安美菜は、全国大会に出場するレベルにまで成長した。今後については「まだバスケットを続けるかどうか決めていない」と言うが、それでも「いい仲間に出会えて楽しかった。濃い3年間だった」と笑顔で振り返り、会場を後にした。【松熊洋介】