関西大学ラグビーAリーグ(1部)の摂南大監督に今春、瀬川智広氏(49)が就任した。16年リオデジャネイロ五輪では、7人制男子日本代表の監督として4位入賞。昨年、関西Aリーグ7位で入れ替え戦を経験した摂南大が掲げる目標は、11大会ぶりの全国大学選手権出場(上位3校)だ。

瀬川監督は東芝を指揮して08~09年度のトップリーグを連覇し、リオ五輪ではニュージーランドから歴史的勝利を挙げた。新型コロナウイルスの影響で活動の自粛が続いたが、今月22日から約25人ずつと制限を設けてグラウンド練習を再開している。26日、大阪・寝屋川市内で行われた練習後に、現在の思いを聞いた。【取材=松本航】

 

-少人数の練習のため、瀬川監督から1人1人への細かな指導が行われていた

「まだ名前が分からない選手も多いですが、リストを見ながら、話をしています。選手には『言っていることができているか』『意識を高くやっているか』。そこから試合のメンバーを決めるという話をしています。現時点で試合の見通しも立っていないので『試合をしていれば、もっとうまかった』と言われても、どうしようもないですから」

-どんなチームを目指すのか

「アタック(攻撃)は元々好きなチームです。そういうチームにしていこうと思います。そのかわり、自由の中に判断基準を求めて、意味のあるプレーをしてほしいと話をしています」

-チーム作りは

「テーマは『リンケージ(つながり)』となりました。例えば練習前後に用具を運ぶのも、今は4年生がやってくれています。1年生は(コロナで今まで)ほとんど練習に来られていないし、授業もあります。1年生の時に自分たちがそういった仕事をやっていたから『お前らがやれ!』となりそうですが、今の4年生が自主的にやってくれています。リーダーとしての考え方を、しっかりと築いていってほしいです」

-なぜ、東芝のゼネラルマネジャー(GM)から摂南大の監督に

「去年の夏に(総監督の)河瀬(泰治)さんから誘っていただきました。実は2年前にも声をかけてもらいましたが、タイミングが合いませんでした。昨年は東芝でGMをしていましたが、自分の中で『グラウンドにいる』ことは大事にしたい部分でもありました」

-摂南大をどんなチームにしたいか

「摂南大のラグビー部でいることが、誇りに思えるチームにしたいです。東芝はすごくいいまとまりを感じて、いいメンバーが集まっていました。社会人と違って学生は4年間ですが、まずは横のつながりを大切にするところから始めたい。例えば授業の課題をしっかり出す。『あいつ、何しているんだろう?』ではなく、就活に行くのであれば、きちんと連絡をする。それを各学年で把握をする。『学生は難しいよ』と言われますが、1年生でもきちんとできる子は、何を言わなくても連絡できています。『大人のチーム』にしていかないといけないです」

-目標は全国大学選手権

「その話は学生から出ました。(4連覇中の天理大以外の)2~8位は(上位に)どこがきても、おかしくない状況だと思います。大事なのはぶれないことです。例えば、ひとつ負けたとしても、それでズルズルといかないこと。最終的に日本一を目指す上で、そこ(チームの文化)が大切になってくると思います」