18年度全国大学選手権で準優勝した天理大(奈良県天理市)ラグビー部で、部員20人が新型コロナウイルスの陽性判定を受けた。

奈良県などはこの日、男女24人の感染を発表。うち19人(1人は12日に感染確認)が同部員で同じ寮で生活。県はクラスター(感染者集団)発生とみて、全部員168人のPCR検査を進めている。未判明は114人。17日から予定していた長野・菅平合宿を含め、大学は全クラブ活動を原則中止。4連覇中の関西リーグは10月10日開幕予定で、リーグへの影響も懸念される。

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悲願の大学日本一を目指す強豪も、見えない敵にのみ込まれた。12日に天理大ラグビー部員1人の陽性が判明。スタッフを含めた濃厚接触者59人がPCR検査を受け、この日までに計20人の感染が確認された。奈良県は16日、「クラスター事案と考えます」とした。

全寮制のラグビー部には部員168人が在籍。今年6月11日に約2カ月半ぶりにチーム練習を再開していた。寮は3人部屋。食事は大人数の食堂を使用せず、各部屋に持ち帰るなど、感染対策は施していたという。陽性となった20人は医療機関等へ移動。陰性が確認された40人(スタッフ含む)も寮を離れて2週間の経過観察、残る部員114人は検査対象となる。

大学は「陽性者の早期の回復をお祈りするとともに、本学としては今後も国や奈良県の方針等を踏まえ、大学として必要な感染防止対策を行います」とした。

チームは17日から長野・菅平合宿を予定し、10月10日開幕予定の関西リーグへ、段階的に強度を上げていた。だが、活動再開の見通しは立てられなくなった。

ラグビーでは一般的に実戦まで1カ月以上の調整が必要とされる。7月に定めた関西協会の方針では1試合でも棄権する大学が出た場合、当該リーグ全体が不成立となる。天理大は同協会へ報告を終えており、リーグ開催方法など、全体への影響も懸念される。

この日、天理市の並河健市長(41)は「私たち天理市民にいつも勇気と感動を与えてくれる、天理ラグビーの若き担い手の皆さんです。未来あるラグビー部員の皆さんの傷口に塩を塗るような、心ない言動がなされないよう切に祈ります」と同市のサイトに記した。「天理地区PCRセンター」の存在を示すなど、市内での2次感染防止に努める姿勢を見せた。【松本航】

◆運動部で起きた主なクラスター 島根県松江市の立正大淞南高のサッカー部寮や野球部などで今月13日までに生徒や教員の計97人の感染が確認され、学校内の感染では全国最多となった。日大水泳部では、16日までに10人以上の感染が確認されている。日体大ではこれまでに、世田谷キャンパスで、柔道部の男子部員、指導者の計10人、健志台キャンパス(横浜市青葉区)で、レスリング部の17人、卒業生3人の計20人の感染が確認された。