ショートプログラム(SP)首位の壺井達也(17=愛知・中京大中京高)が、優勝で復活を印象づけた。フリーもトップの136・75点を記録し、合計216・53点をマークした。

「ラフマニノフ10の前奏曲」のピアノの音にとけ込むように、冒頭の3回転サルコーから次々とジャンプを成功。演技後半でトリプルアクセル(3回転半)が1回転半となるミスがあったが、続く3回転ルッツからの3連続ジャンプを着氷させるなど、安定した演技を披露した。

「2年目ということもあって、少しずつ滑り慣れている。去年に比べて、いいプログラムになっているかなと思います」

18年の全日本ジュニア王者だが、昨季は故障に悩まされて全日本選手権を棄権。この日2本中1本成功させた3回転半は8月に練習を再開したが、当初は1本決めるのに30分かかったという。「怖い気持ちが大きかったけれど、今はすぐ跳べるぐらいの状態になっているので、恐怖心を克服できた」。着氷時にこれまで負担がかかっていた足首を使わず、体幹や尻の筋肉でカバーするトレーニングを続けている。

今大会では回避したが、冒頭の3回転サルコーを4回転とする意欲を持っている。昨季、2連覇を逃した全日本ジュニア選手権(21~23日、青森・八戸市)に対する思いも人一倍強い。

「2年前に優勝した時の点数が222点だったので、まずはそれを超えられるように、頑張りたいと思っています」

自らの手で引き寄せた、上昇気流に乗っていく。【松本航】