13日の全日本体操種目別選手権(群馬・高崎アリーナ)の床で2連覇を達成した仙台大の南一輝(3年=下関総合)が15日、宮城・柴田町の同大で優勝報告会を行った。出席した大学関係者約40人の前で、G難度リ・ジョンソンに続くH難度の新技「リ・ジョンソン・ハーフ」の完成を誓い、来年4月からの東京五輪国内選考に闘志を燃やした。

男子6種目の中で床運動一本に絞って五輪出場を狙う「床のスペシャリスト」。全日本選手権ではリ・ジョンソン(後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり)を決め、自己ベストの15・600点で王座を防衛した。昨年は「ひねり王子」こと白井健三(24=日体大大学院)の7連覇を阻止して優勝。初出場したW杯シリーズ第5戦も制した。だが今年2月の同6戦で左足首を痛め、3月の同7戦はコロナ禍で予選5位のまま中止に。国内大会も相次いで中止になる中、約9カ月ぶりの大会を制し「まだ80~90点くらい。失敗も多いので得点は伸ばせる」と手ごたえを感じている。

五輪出場枠は団体戦メンバー4人を含む6人。残り2枠を総合、種目別スペシャリストで争う。最大のライバルは、鉄棒一本に絞った16年リオ五輪個人総合2連覇の内村航平(31=リンガーハット)だ。日本選手権でもH難度「ブレトシュナイダー」を決めて優勝した。南は対抗技として同じH難度の「リ・ジョンソン・ハーフ」の完成を目指す。まだ世界で誰もなし得ていない大技。成功すれば「ミナミ」の称号も付く。報告会後、柴田町を表敬訪問し「大きな武器になる。金メダルを取って多くの人を笑顔にしたい」と五輪切符獲得を誓った。【佐々木雄高】