スポーツ仲裁裁判所(CAS)は17日、世界反ドーピング機関(WADA)がロシアの組織的な不正を認定して下した処分を巡り、同国選手団を東京オリンピック(五輪)・パラリンピックや2022年北京冬季大会から除外する裁定を発表した。潔白を証明した選手のみ個人資格での出場を認め、国旗や国歌の使用は禁じる。

当初4年間の処分期間は22年12月16日までに短縮されたが、サッカーの22年ワールドカップ(W杯)カタール大会や各競技の世界選手権も対象となる。裁定は「WADAが求めたほどではないが、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)や同国当局の行為を正当化するものではない」と強調。WADAの決定を不当とするRUSADAの訴えを退けた。

RUSADAは17日、CASの裁定に「完全には満足していない」とする声明を発表した。CASが本部を置くスイスの連邦最高裁に上訴する可能性もある。WADAのバンカ委員長は「勝訴できてうれしい。判決は潔白なスポーツと選手にとって重要な瞬間だ」との声明を出した上で処分短縮には失望も示した。

WADAは昨年12月にロシアの検査データ改ざんや隠蔽(いんぺい)工作を認定。主要大会の開催や招致、ロシアの政府関係者や五輪・パラ統括団体幹部の主要参加も禁じた。

16年リオデジャネイロ五輪ではロシア選手団の全面除外を見送って各国際競技連盟に判断を委ねた結果、約280選手が出場し、同パラリンピックは選手団を除外。18年平昌冬季大会は個人資格でのみ出場を認め、五輪には国旗と国歌を使用できない「ロシアからの五輪選手(OAR)」が参加した。(共同)