2連覇を狙う早大(関東対抗戦2位)が慶大(同3位)を29-14で下し、4強入りした。

スーパールーキーCTB伊藤大祐(1年=桐蔭学園)が、公式戦初先発で大学初トライ。昨年度の全国高校大会(花園)で単独優勝に導いた有望株が躍動し、選手権の早慶戦成績を6連勝に伸ばした。来年1月2日の準決勝(秩父宮)では帝京大(対抗戦4位)と再戦する。もう1試合は前回準優勝の明大(同1位)と天理大(関西1位)のカードに決まった。

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大型新人の呼び声通りだった。10-0の前半20分、初先発の伊藤が初トライを奪う。敵陣でフランカー相良昌彦(2年=早実)がファンブルを誘い、こぼれ球を拾うと一瞬の加速で2人を置き去りにした。50メートル超を独走。インゴール真ん中にダイブし、先輩に駆け寄られ、21世紀生まれの19歳が若々しい笑顔を見せた。

昨年度の花園で、桐蔭学園を初の単独優勝に導き「高校3冠」を達成したU-17日本代表。大学入学後は新型コロナ禍に見舞われ、一時解散をへて初めてAチームの練習試合に起用された9月の流通経大戦で右太もも裏を肉離れした。全治まで約2カ月。デビューが11月の早慶戦まで遅れ、今月の早明戦では3回しかボールに触れず、うち1回がノックオン。「チャンスで目を切ってしまって…準備不足」と注目に応えられなかった。試合も14-34で初黒星。大器の片りんを示せずにいたが、出遅れて気付いた。「あのノックオンがあって良かった。未熟さを痛感し、本気スイッチが入った。次の試合へ、腹をくくりたい」。そう試合前に覚悟を決めていた通り、初スタメンで記録を残した。

この日の取材対応はなかったが、相良監督から「『緊張しています』と話していたが、伸び伸びとしたボールキャリーに、初出場でトライを取り切る非凡さ。期待以上の…いや、期待通りの活躍を見せてくれた」と評価された。4年時に迎える23年ワールドカップ(W杯)フランス大会を目指してSO、CTB、FBに取り組む逸材が、まず1年目は大学2連覇の得点源を目指す。【木下淳】