北海道出身のオリンピアンを紹介する「北のオリンピアン」。今回は88年ソウルオリンピック(五輪)95キロ級に出場した須貝等です。

 ◇   ◇   ◇

柔道では北海道勢初の五輪挑戦だった。88年9月30日、韓国・ソウル。22歳の新鋭トレノー(フランス)との2回戦。「日本ならあそこで『待て』です。気を抜いたところもあったけれど」。開始1分30分すぎ、「待て」と勘違いして許した一瞬の隙をつかれ相手に後ろ腰で有効を取られた。上村春樹監督の抗議も判定は覆らず、85、87年世界選手権王者が初戦で散った。

古平町出身で柔道を始めたのは中学1年と遅かった。素質が開花したのは強豪の東海大四(現東海大札幌)に進学後。親元を離れ、日本一を目指す柔道部で練習漬けの日々を送り3年で総体を制した。東海大を経て新日鉄に入った85年に初めて日本代表として世界選手権に出場。当時日本勢でメダル獲得がなかった95キロ級でロサンゼルス五輪金の韓国選手を破って世界一。競技を始めて10年だった。

2回戦で左ひざを痛め敗れた89年世界選手権を最後に現役を引退。現在は柔道着の販売を手掛ける会社の経営者の傍ら、母校などで後進の指導を続けている。