錦織が126日ぶりにコートに戻ってきた。日本のエースで世界41位の錦織圭(31=日清食品)が、自身の今季開幕戦として、男子国別対抗戦ATPカップのD組対ロシア戦に日本NO・1として出場。いきなり同4位のメドベージェフ(24)との対戦で2-6、4-6で敗れた。結婚後初の試合でもあり、右肩の故障と2週間の完全隔離からの復帰戦としては、十分に手応えをつかんだ。日本は西岡良仁(25)も敗れ、D組通算0勝1敗となった。

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オーストラリア入りしてから、1歩も部屋の外に出られない完全隔離で、練習できたのはわずか4日間。昨年9月30日の全仏2回戦以来の公式戦が、いきなり4位が相手で、けがも含めて不安視された。敗れはしたものの、錦織は「思ったより悪くなかった」と、復活へののろしを上げた。

トップ10と対戦するのは、19年7月のウィンブルドン準々決勝で、当時3位のフェデラーと戦って以来574日ぶり。昨年、右ひじの手術から9月に復帰し、6試合を戦ったが「トップ10と戦いたかった」と悔いを残していた。トップ10と戦うことで、自分の今の立ち位置が分かる。この日の敗戦は、自分がどのぐらい戻せばトップ10に復帰できるか、自分の進路を照らす羅針盤のような試合だった。そこで「2セット目は全部良かった」と話したように、間違いなく光が差していたに違いない。

改良中のサーブ、ネットプレーも、ある程度、機能した。第1サーブの得点獲得率は決して高くないが、課題だった第2サーブの同率は50%以上。その部分が最も目指していた改良点で、徐々に成果は出始めている。ネットにも、効果的に出て、6割以上、得点につなげた。昨年9月に復帰したときよりも「もう全然、格段にいい」。体力的にも「問題なくできた」と収穫を口にした。

「足りない点はたくさんある。いいレベルをキープできなかった」と反省を忘れなかったが、全く体に違和感がなく戦えたのはいつ以来だろう。19年の前半戦が最後かもしれない。右ひじの手術、右肩の痛み、新型コロナ感染、完全隔離などを乗り越え、新たな家庭とともに、再び日本のエースが復活に向け動きだした。

◆ATPカップ 男子ツアーを運営統括するATP(プロテニス協会)が昨年に創設した男子テニスの国別対抗戦。通常は24カ国が参加し、オーストラリアの3都市で行うが、コロナ禍のため、参加を半分の12カ国に縮小。メルボルン1会場開催とし、参加国を3カ国ごとの4組に分け、各組で総当たり戦を行う。各組の1位が準決勝に進出し、トーナメント方式で優勝を争う。1対戦はシングルス2試合、ダブルス1試合の計3試合で2戦先勝。賞金総額は750万ドル(約8億2500万円)。

◆全豪オープンテニスは、2月8~21日、WOWOWライブで連日生中継。WOWOWオンデマンドでも同時配信予定。