男子200メートル個人メドレー(12歳以下)で根岸歩夢(上越正和SS=直江津小6年)が2分14秒63の県学童新記録をたたき出した。従来の記録2分16秒92を大幅に2秒29短縮した。第1泳法のバタフライで飛び出すと、ライバルたちを一気に引き離した。100メートルバタフライと50メートル背泳ぎでも勝ち3冠を獲得した。

1人だけ別次元の泳ぎだった。根岸は他レーンの選手たちを、あっという間に置き去りにした。豪快な水しぶきを上げて157センチの全身が水面を滑っていく。第1泳法のバタフライと第2泳法の背泳ぎは、ともに1位になった種目。「最初のバタフライで突っ込んで、次の背泳ぎでスピードが落ちないように泳いだ」と言う。それでもフィニッシュし電光掲示板のタイムを確認した表情は喜びよりも悔しさの方が先だった。

「もうちょっと(いい記録を)出したかった。ちょっと遅かった」。従来の県学童記録2分16秒92(20年4月1日現在)を2秒以上短縮しても満足しなかった。というのも、すでに今年は新年フェスティバルとSCチャンピオンシップで2度も県学童記録を超えるタイムを出すなど、新記録も“出して当然”の形になっていた。「泳ぎの中で得意、苦手はない」と言いながら今回は自由形と背泳ぎを徹底強化。だからこそ、喜びの爆発はなかった。

生後8カ月から上越正和のベビーコースで水泳を始めた「水の申し子」。短水路は400メートル個人メドレーの県学童記録4分55秒93に次いで2個目の県の記録樹立だ。豊富なスタミナが身上で校内マラソンは小学1年から6年まで1位の座を明け渡したことはない。「何を泳いでも勝てる選手になりたい」と言う根岸のモットーは「誰にも負けない」だ。3月の全国JOC春季県通信大会でも、もちろん狙うのは優勝。「最終的にはオリンピックで金メダル」と全身には夢がたっぷり詰まっていた。【涌井幹雄】