兄妹で争った頂上決戦は、兄と義妹ペアに軍配が上がった。松村雄太(31=コンサドーレ)吉田夕梨花(27=ロコ・ソラーレ)が、実妹の松村千秋(28=中部電力)と谷田康真(26=コンサドーレ)の前年優勝ペアを10-2で下し初優勝を飾った。連覇を阻止したことで、22年北京オリンピック(五輪)に出場する道をつないだ。今後、あらためて行われる日本代表決定戦で、両チームは再び対戦する。

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予想外に一方的となった決勝を制し、松村雄は「最後に一番いい試合をして勝てた」と笑顔を見せた。第1エンドから3連続スチール。不利とされる先行で複数得点を重ね、序盤から優位に進めた。相手がパワープレーで大量点を狙ってきたときには1点に抑え、逆に自分たちのパワープレーでは着実に2点を加える盤石の内容。インタビューに向かう際に悔し涙を浮かべる妹千秋とすれ違い、「妹が泣いているのを見ると心苦しい」。複雑な思いも口にした。

世界選手権(4月24日開幕)で中国をのぞく上位7位以内に入れば、日本の出場枠を獲得し、妹のペアと代表決定戦で再戦する。「ここで勝った以上、家族やきょうだいがどうというのはまったく別の話。日本代表であることを自覚し、しっかり枠を取るのが自分たちの仕事」と力を込めた。

絡み合う家族関係も興味深い。実の妹との勝負を、義理の妹にあたる吉田夕とのコンビで制した。試合を重ねるごとに成長し、1次リーグは連敗スタート後に立て直した。プレーオフで8強最後の1枠に滑り込むと、準々決勝で過去優勝2回の強豪、藤沢五月(29=ロコ・ソラーレ)山口剛史(36=SC軽井沢ク)組を撃破。この日午前の準決勝では、最終エンドの逆転勝ちで決勝進出を決めた。松村雄は「予選から最終戦に向けて、チームとして成長できた」と振り返り、吉田夕は「まだ伸びしろがある。2人で技術面やメンタル面を詰めていきたい」と先を見据える。

国内最強コンサドーレのスキップとして、すでに男子4人制で北京五輪日本代表となる権利を得ている。吉田夕も、女子4人制で北海道銀行との代表決定戦を控える。4人制と混合ダブルスでの“2種目出場”を果たせば、日本カーリング史上初めて。その快挙に向け、まずは世界選手権で日本代表としての責任を果たす。【奥岡幹浩】