卒業式シーズンの3月を迎え、県内有力選手たちが3日までに門出の時を迎えた。静岡市の常葉大常葉高では、体操女子平均台で東京オリンピック(五輪)出場が有力視される芦川うらら(3年=水鳥体操館)が、新たな決意を胸に思い出の詰まった校舎を後にした。

思い出いっぱいの校舎で過ごす高校最後の日。教室で卒業証書を受け取った芦川は「うれしい気持ちもあるし、一緒に過ごしてきた友達と離れるさみしさもある」。式典後は、クラスメートとの限られた時間を惜しむように、記念撮影や会話に花を咲かせた。

同校では、中学からの6年間を過ごした。一番の思い出は「みんなと話している時が一番楽しかった」。同級生との何げない会話が、休みなく体操に打ち込む日々の励みになった。「試合の度に『頑張って』と応援してくれたり、結果を残して帰ってきた時には『頑張ったね』と声を掛けてくれた。うれしかった」と振り返り、感謝を込めた。

7月に出場が有力視される東京五輪を控え、卒業後は、大学進学を延ばして水鳥体操館に残る。「体操に費やす時間が増える。1日1日を大切に、全力で取り組んでいきたい」と、改めて決意を語った。

今月開催予定だった五輪選考会となる種目別ワールドカップ(W杯)最終戦(カタール・ドーハ)が、コロナ禍で延期に。今後は4月に全日本選手権に臨む。この日、同級生からはサインも求められ「応援してくれる友達がいてくれることがうれしい。もっと良い自分をつくれるように、頑張っていきたい」。仲間のエールも胸に、夢舞台へ進む。【前田和哉】