24日に53歳で死去した92年バルセロナオリンピック(五輪)柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんの葬儀・告別式が29日、川崎市内の寺院で営まれた。

弔辞は同五輪男子78キロ級金メダルの吉田秀彦氏(51)が読み上げ、約1000人の参列者は「平成の三四郎」と最後の別れを惜しんだ。

女子代表コーチだった古賀さんが、二人三脚で指導した04年アテネ五輪女子63キロ級覇者の谷本歩実さん(39)も参列。教え子は「まだ何だか、正直心の整理がついていません。五輪で金メダルを目指す道はすごくつらく、そこに古賀先生がいるだけで太陽のように明るく、いつも楽しませてくれて頑張る力をたくさんもらいました。楽しかったし、最高に幸せでした」と当時を思い返した。

古賀さんは指導する上で、技術以上に「心」を大事にしていた。その選手がいかに自然体で試合に臨めるかを常に考えていた。アテネ五輪決勝直前には、畳に向かう谷本さんの耳元で「畳の上で一本を取る女優を演じてこい!」と決めぜりふで発奮させ、背中をたたいて金メダルに導いた。

谷本さんも古賀さんの人柄について「人のためにいつも全力で尽くす方」と表現。「古賀先生はこれからも変わらず、たくさんの柔道家を照らしたように、まだまだ(天国で)輝いてほしいです」と、偉大な柔道家へ最後のメッセージを送った。