柔道男子代表の井上康生監督(42)が30日、オンライン取材に応じ、24日に53歳で死去した92年バルセロナ五輪男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんの子供3人に激励の言葉を送った。

18年世界ジュニア大会男子60キロ級覇者の次男、玄暉(22=日体大)は、5日後に迫る全日本選抜体重別選手権(4月3、4日、福岡国際センター)に出場する。井上監督は「先週玄暉くんの練習を見て、非常に大きな悲しみがあったと思う。ただそれ以上に、父の志を受け継いで練習する姿があった。今大会だけでなく、その先においても心から活躍を願いたい」と24年パリ五輪へ向け、さらなる飛躍を期待した。

慶応高柔道部を指導する男子73キロ級の長男颯人さん(23)は、古賀さんの葬儀・告別式で施主を務めた。女子57キロ級の長女ひより(20=環太平洋大)らと気丈に対応し、出棺時には古賀家を代表して参列者に感謝の気持ちを述べた。その姿を見た井上監督は、子供3人が古賀さんの自覚や思いを継承していると感じ、「より一層(活躍を)期待したいと強く思った」。

子供好きで知られていた古賀さんは、井上監督の長男が質問攻めした際にも1つ1つ丁寧に答えてくれてたという。「明るく気さくに接してくれた姿を見て、すごい方だなと改めて感じた」と実績だけでなく、その人間性にも感心したという。

4カ月後に東京五輪を控える42歳の指揮官は、53歳の若さで旅立った柔道界のスターへ「全日本選手権やバルセロナ五輪での勇姿は、私の心の中で大きく刻まれている。まだまだやり残したことがあったと思うと残念でならないが、柔道への思いを受け継いで、柔道界のさらなる発展に尽くしたい」と誓った。