大物ルーキーが、いきなりベールを脱ぐ。

ラグビー、トップチャレンジリーグ(TCL)の近鉄は1日、1位決定戦の豊田自動織機戦(3日、滋賀・布引グリーンスタジアム)メンバーを発表した。4月に入り、今節から21年度入団選手の出場が可能。1月に天理大を初の大学日本一に導き、23年W杯日本代表を目指すCTBシオサイア・フィフィタ(22)が背番号13のCTBで先発する。

世代屈指の逸材が、大一番でデビューを果たす。大阪・花園ラグビー場第2グラウンドでの2日前練習。フィフィタは仲間とコミュニケーションを取りながら戦術の細部を確認した。表情は生き生きとしていた。

「この日のために2カ月間準備をしてきました。準備はできたので、あとはやるだけ。まずはこの試合に出ることに感謝して、このチャンスを逃さないように13番を背負って戦いたい」

1月、天理大の大黒柱として関西勢36季ぶりの優勝に貢献した。2月4日に新天地の近鉄に合流。3月に入り、非公開の練習試合にも出場した。有水剛志ヘッドコーチ(HC、47)は先発の理由をこう明かした。

「ライナーズの攻撃にフィットしてきた。ポテンシャルは抜群。ライナーズでどこまでフィットするかが(起用の)目安でした」

BKラインを形成するSHゲニアはオーストラリア代表110キャップ、SOクーパーは同代表70キャップのスーパースター。有水HCは「世界的なプレーヤーにどううまく使ってもらうか。サイア(フィフィタ)が外をどううまく使えるか」と期待を込める。フィフィタも「攻撃のところで周りも生かしながら、フィジカルのところで負けない準備をしてきた」と力強く言い切った。

トップリーグ(TL)2部相当のTCLだが、今季は上位4チームがTL16チームとのプレーオフトーナメント(4月17日開始)に進む。すでに進出条件を満たす近鉄はTCL1位通過で弾みをつけ、目標の「トップ8」へ駆けあがりたい。フィフィタが、その起爆剤となる。【松本航】

◆シオサイア・フィフィタ 1998年12月20日、トンガ生まれ。日本航空石川高進学で来日。高校日本代表に選出され、17年に天理大へ入学。1年時からレギュラーをつかみ、2年時に全国準優勝、4年時に優勝。U20(20歳以下)日本代表、ジュニア・ジャパンも経験。20年はスーパーラグビーの日本チーム「サンウルブズ」入り。趣味は映画観賞。187センチ、105キロ。