海と氷を制する男になる。カーリング男子のコンサドーレ相田晃輔(22)が漁師との二刀流をスタートさせた。3月で北見工大を卒業し、実家の相田漁業部に就職した。22年北京五輪出場権獲得を目指し、まずは2日(日本時間3日)開幕の世界選手権(カナダ)へ、出港だ。

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相田が船出を迎えた。3月で北見工大を卒業し、社会人生活をスタート。進路は迷ったが、家業を継ぐ決意をした。北見市常呂の相田漁業部は現在、相田の両親が3代目。「先輩方のようなかたち(企業勤めなど)も考えて迷ったが、カーリングを続けながら漁師をやりたいって選択をした」。必要な資格取得を目指しており、船舶操縦士免許は学科は受験済み。世界選手権からの帰国後、実技を受ける予定だ。

相田家の漁船「登美丸(とみまる)」は、老朽化で買い替えが必要なタイミングが迫っていた。相田が4代目として継ぐことにすれば新調、継がないなら3代目で相田漁業部を終えると両親から言われた。競技を応援してくれる両親の思いも受け、漁師として、カーリング選手として、両方に力を尽くすことを決めた。2年後の23年に「登美丸」はリニューアルする。

漁の中心はホタテ、カキ、タコ。小学生時代から手伝い、大変さはわかっている。漁は午前2時ごろ出発し、昼ごろに終了。カーリングの練習も欠かせず、5、6月であれば例年ならチームメートと夜7時から2時間ほど練習する。「学生時代とは違って仕事にも責任もあるけど、どっちも全力でやっていきたい」。合宿など遠征では競技に専念するが、難しい生活サイクルになることも覚悟の上だ。

「船にずっと乗っている。もしかしたらバランス感覚が良いかもしれない」と、カーリングにも生きる点を探す。2日(日本時間3日)開幕の世界選手権ではリザーブとしてチームを支え、出番にも備える。五輪切符のかかる大会へ「重圧はあるけど、チームとしての実力が出し切れれば」。漁師兼カーラーとして、来年2月の北京へ向かう。【保坂果那】

 

◆相田晃輔(あいた・こうすけ)1998年(平10)10月2日、北見市出身。北見常呂小4年からカーリングを開始。常呂高3年時の16年ユース五輪日本代表、混合ダブルスでベスト16。北見工大1年時の17年にコンサドーレの前身4REAL入り。18年からコンサドーレ。19年世界選手権4位、21年日本選手権で3連覇。177センチ、76キロ。家族は両親と姉、祖母。