港町神戸に、夢の大規模アリーナが誕生する。

2024年、神戸の中心地である「三宮」のほぼ真南に位置する海沿いに、収容人数1万人規模の「神戸アリーナ」(仮称、中央区新港町)を建設する計画が進んでいる。

西には街の象徴、神戸ポートタワーと景色が自慢の建設予定地。4月7日、神戸市内で行われた記者会見で久元喜造市長(67)は「早く姿を現し、多くの人が訪れてほしい」と声を弾ませた。3月末に企業連合体が開発の優先交渉権を獲得した。総工費などは今後詳細を詰めた上で発表されるが、事業に携わる「SWAグループ」の八尋俊太郎氏は「(米サンフランシスコの)チェイス・センターを超える計画にしたい」。米バスケットボールNBAの強豪ウォリアーズが使用する本拠地を例えに出した。

この「神戸アリーナ」の運営に携わり、完成後はホームとするクラブがある。バスケットボールBリーグ2部(B2)の西宮ストークス(兵庫・西宮市)だ。

現在B2の西地区1位と健闘しているが、B1の強豪との実力差は否めない。一見「背伸びしすぎでは?」という意見が出るかもしれないが、この日の会見に出席したBリーグの島田慎二チェアマンは「この事例は、非常に大きなインパクトをもたらせてくれる」とアリーナ誕生を歓迎した。

Bリーグは今、新たな改革に乗りだしている。その節目が、誕生10年を迎える2026年となる。

このシーズンから、競技成績のみによる「昇降格制度」を廃止とする方針だ。

では、何で「B1」「B2」「B3」を判断するのか? 島田チェアマンは「B1」に求める、3つの重要指針を示した。

<1>アリーナ基準

<2>入場者数基準(平均4000人)

<3>売り上げ基準(売上高12億円)

リーグはB1参入審査の24年までに最低10クラブ、最高で18クラブ程度の基準クリアを想定しているという。戦力強化はもちろんだが、よりチーム運営面の強化を求めることになる。地方クラブからは「せっかくB1にいるのに、こうなったら…」という声もあるという。島田チェアマンは「(成績による)昇降格がないことは逆にメリットになる。基準にたどり着いても成績で(降格してしまう)となるより、計算もできる」とプラス面を強調する。

西宮ストークスに対しては、島田チェアマンから「アリーナができても(売り上げなど他の基準に)たどり着けなければ、宝の持ち腐れになる」と激励の言葉もあった。西宮の渡瀬吾郎社長は現状を分析した上で「ガバナンスと財務の強化が必要。今の3倍、5倍、10倍と、人気クラブになるようにしたい」と誓った。

西宮から神戸への本拠地移転による、チーム名の変更等は現在検討中。3年後に大盛況の「神戸アリーナ」を作り上げるための、挑戦が始まった。【松本航】