萩野公介(26=ブリヂストン)は1分57秒43の2位だった。派遣標準記録は1分57秒98。既に瀬戸大也が内定しており代表は残り1枠だった中、派遣標準を突破して個人の代表切符をつかみ取った。800メートルリレーに続く、2つ目の東京五輪内定種目となった。

懸けていた種目。「素直に、まずオリンピックの代表権を獲得することができてうれしかった」と振り返った。

最後は瀬戸との見応えある一騎打ちで「昨日、2人で『どんなレースになるかね。フリーで最後、泥仕合になるだろうね』みたいなこと言ってたんですけど(笑い)。ホントに、僕は最後、負けちゃいましたけど今の力は出し切ったので。夏に向けていいレースができたと思います」。

2人の対決。燃えるものはあったか聞かれると「燃えすぎてしまって、最初のバタフライ、力んじゃったんで。ハハハ。久しぶりに2人で泳ぐのも楽しかったですけど、こういうことをたくさん経験していって、夏につながると思うので。いいレースでした。夏は、このままのタイムでは戦えないと思うのでね、夏に向けて仕上げていきます」と意気込んだ。

この後の一問一答は以下の通り。

「タイムは、もう少し上を狙っていたので、バタフライで浮かび上がって1かき目、失敗したりとか課題はあったんですけど、がむしゃらにというか、今の自分を出すということで泳ぎました。結果、最後は0秒02負けたけど、本番で頑張りたい。

--一時、スランプがあった

「先月の試合が終わった後、大丈夫かなという時があったんですけど、最終的にそこの期間、練習して。自分のできる限りのことをして臨んだ。余計なことで邪魔したくない思いがあったで、培ったものをここで出したいと思っていた。一時はレースの前に負けていた時もあったけど(今日は)大人のレースができたと思う」

「今の自分の中では正しい選択と思って種目を選んだし、そういった練習を積んできた。あの時、こうすれば良かったという選択肢とか、ああすれば良かったとかいうのはあるもしれないけど、今はこれが萩野公介だと思っている。悔いはない」

「今は難しい時期だけど、全力で自分の実力を100%出し切るだけ。メダルや1位ももちろん目指しますけど、それよりもまず、自分という姿をオリンピック本番で100%出し切りたい」。

--ラスト5メートル、ノーブレだった。最後の50の思いは

「泳ぎながら、いいなと思ったけど、ちょっとスパート速かったかなぁと。競馬でいう、ムチをワンテンポ速く入れた感じかなと思ったら、そうなった。レース感とか、競った中での経験とかは(これから)培っていくもの。まだ足りない部分はあるかもしれないですけど、楽しかったです」

萩野は、400メートル個人メドレー、200メートル背泳ぎを回避して、同種目に絞ってきた。3月中旬には「見えを張るのは疲れました」とありのままの自分を受け入れて、200メートルの距離で勝負する気持ちを固めていた。

7日の準決勝は全体1位で通過した。既に800メートルリレー代表の座を得ていたが、個人で五輪メダルを狙う同種目に向けて「余力はある。死ぬ気で泳ぎたい」と決意表明していた。

16年リオデジャネイロ五輪の栄光から5年。紆余(うよ)曲折をへて、決勝の舞台にたどり着いていた。

優勝は瀬戸大也(26=TEAM DAIYTA)だった。