先月31日にテニス全仏オープンを棄権することを電撃発表し、世界中の注目を集めた女子テニス世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)が2日、すでに自宅のある米ロサンゼルスに戻っていることが明らかになった。

英デイリー・メール紙が自宅前で撮影した写真を掲載して報じた。大坂はSNSで、大会からの棄権と2018年からうつを患っていることを告白した直後にパリをたち、現地時間1日午後には自宅に帰っていたことが確認されたという。

掲載された写真では、ナイキの黒いキャップとスニーカーにスポンサーのビーツ・エレクトロニクスのヘッドホンを着用。元NBAスターのコービー・ブライアントさんの夫人が立ち上げたばかりのアパレルブランド「マンバチタ」のタイダイ柄のトラックスーツ姿で、車から荷物を運ぶ様子がうかがえる。帰国した大坂を励ますためか、たくさんの大きな風船が配達される様子なども伝えている。

心の健康などのために大会を棄権すると突如発表したことはテニス界のみならず世界中のスポーツ界に大きな衝撃を与えた。大坂が投じた一石によって米国内でも若い女性アスリートのメンタルヘルス問題や選手の心の健康に与えるメディアの影響について連日議論となっている。記者会見の在り方を巡っても大きな論争が起きている。

ESPN解説者で元女性テニス世界1位のクリス・エバートさんは、大坂本人はここまで大事になるとは考えていなかったと思うとCNNに語り、「シャイで繊細なゆえに、苦手なクレーコートでのプレーに集中するため、そのことを繰り返し(会見で)聞かれるのを避けるために罰金を払って会見を拒否することを選択しただけだったと思う」とコメント。その上で、「メディアは選手に対してある程度の敬意を払う必要がある」とも語り、メディアも成長する必要があるとの認識を示した。

現役選手たちの間では大坂の決断を支持する声が多くあがる一方、一部の選手からは「メディアの役割の重要性」や「(会見も)仕事の一部」と会見の重要性を主張する声もあり、英国のテレビ司会者ピアース・モーガン氏や豪オーストラリアン紙の記者らは大坂の未熟さを指摘している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)