日本代表が19年W杯日本大会以来、601日ぶりの実戦で、特別再編成したサンウルブズに32-17で逆転勝ちした。

前回W杯代表13人を先発起用したが、前半は3-14と苦戦。ボール争奪戦に課題を残しつつも、後半から起用されたSH斎藤直人(23=サントリー)やWTBシオサイア・フィフィタ(22=近鉄)ら新戦力が収穫となった。今後は欧州遠征で26日に全英・アイルランド代表「ライオンズ」、7月3日にアイルランドと戦う。

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ざわめきに包まれたピッチ上で、日本代表は円陣を組んだ。前半終了間際にトライとゴールを許し、3-14。直後にハーフタイムを告げる笛を聞いたが、すぐにロッカー室へ戻らなかった。フランカーのリーチ主将は「『セイムページ』で後半に入りましょう」と呼びかけ、まずは頭を整理。1つになって引き揚げた。

それほどまでに苦しんだ。21年度日本代表候補に名前のない相手SO山沢らのキックで揺さぶられ、ボール争奪戦でも劣勢に立った。新型コロナウイルスの影響で昨年は代表活動が行えず、本格的な再始動は5月下旬の大分・別府合宿。ジョセフ・ヘッドコーチは「向こうの方が貪欲さがあり、前半はパンチを食らった」と評価し、フッカー坂手も「テストマッチですると取り返しがつかない。大きな反省点」と振り返った。

重い雰囲気は自分たちで変えた。後半開始から投入されたフィフィタは開始30秒で防御ラインを突破。1月に天理大を日本一に導いた22歳が躍動した。4点を追う後半25分には早大出身のSH斎藤がゴール前ラックから、ほぼ真横に速く、長いパス。CTB中村は「いいところに(斎藤)直人が放ってくれた。『ごっつぁん』という感じ」とサントリーの後輩をたたえた。

モールなどFW戦で地に足をつけ、後半は4トライ。2週後には4年に1度結成される英国系4協会の選抜チーム「ライオンズ」への初挑戦、7月にはW杯で死闘を演じたアイルランドとの再戦が待つ。リーチは「欧州遠征で2勝して帰ってきたい」。23年W杯フランス大会へ続く壁を、全員で乗り越える。【松本航】

○…新戦力のSH斎藤とWTBフィフィタは、充実の代表初陣となった。斎藤はテンポを上げて、攻撃にリズムを生み「ラグビーを始めた頃から、日本代表を目標にしていた」。昨年サンウルブズでスーパーラグビーを経験したフィフィタも「しっかりと自分の役割を、全力で頑張ろうと考えた」と振り返った。ジョセフ・ヘッドコーチは「斎藤を含めて、後半に入ってきた選手はインパクトを与えてくれた」と評価した。