スノーボード女子で、14年ソチオリンピック(五輪)銀メダリストの竹内智香(37=広島ガス、旭川市出身)が、活動拠点の1つ、東川町で7月から新たなプロジェクトを始動させる。「東川町民健康寿命延伸プログラム」と題し、体づくりのノウハウを伝授する。22年北京五輪で冬季日本女子最多の6度目の大舞台を目指すアスリートのさらなる挑戦だ。

シーズンに向けてトレーニングを重ねている竹内は、7月から大きな挑戦をスタートさせる。「町民の健康寿命が少しでも延びたら、町の医療費が下がる。世界一健康な町にしたい」と壮大な夢を語る。実家が経営する温泉宿「湧駒荘」のある東川町で、その思いを実現しようと動きだすのが「東川町民健康寿命延伸プロジェクト」だ。

竹内もトレーニングを行う「R-body project」(本社・東京)が「地域活性化企業人交流プログラム」を活用し、同町にコンディショニングコーチを派遣する。竹内も19年に同町を拠点にしたスノーボードキッズ育成組織「& tomoka」を立ち上げている。今回、三者がタッグを組んで、プロのサポートによる町民の運動習慣改善に取り組んでいく。「私が普段やっているようなトレーニングを町民に還元する」と、世界で戦う体づくりのメソッドを町民は知ることができる。町内のトレーニング施設には、アスリートの愛用者が多いワットバイク(データ測定機能搭載の自転車型トレーニング器具)が設置されており、活用される。

竹内は6度目の五輪を目指している。18年平昌五輪後、約2年半競技から離れた。その期間、「& tomoka」の活動などに力を入れた。「競技者として、十分やった」と、引退に傾いていたが、スノーボードを純粋に楽しむ子どもたちとの出会いが、気持ちを変えた。「心から楽しんで滑りたいと思えるようになった」。五輪プレシーズンとなる昨季、現役復帰を決断した。

現役復帰に向けて踏み切った卵子凍結の公表は話題を呼んでいる。「同じような境遇にいる女性にとっても、1つの選択肢として知ってもらえるきっかけになるんじゃないか」と真っすぐ前を見つめている。夏の五輪が開幕までこの日1カ月を切り、冬も迫る。「競技を楽しめるようになった良さは絶対にあると思う。それを維持しつつ、勝ちにこだわっていく」と力強く話した。【保坂果那】