東京オリンピック(五輪)日本代表のエースで、日本フェンシング界初のプロ選手として活動する江村美咲(22=立飛ホールディングス)が、順当に10月3日の決勝へ駒を進めた。2年ぶり3度目の優勝を狙う。

準決勝は佐々木陽菜(全日空)に15-7で圧倒した。プロになって初めて迎える全日本。目指す24年パリ五輪への第1歩で「まずはホッとしました。プロになってもすることは変わらないけど、自覚は強くなった。国内では常に優勝するくらいじゃないといけないと思っています。準決勝では自分のやりたいフェンシングができました」と笑顔を見せた。手応えを示すように、準々決勝で五輪代表の田村紀佳(旭興業)を破って勝ち上がってきた佐々木を難なく退けた。

東京五輪は個人13位、団体では日本女子最上位の5位に入賞する原動力となった。インスタグラムのフォロワー数が五輪を機に500人ほど増えたが、大会後の8月15日に務めたプロ野球西武-楽天戦の始球式では「1500人くらい増えました」と3倍の反響。競技のメジャー度の違いが大きいが「やっぱりメダルを取っていないので」とあらためて、目指す24年パリ五輪でのメダル獲得へ意欲が増した。男子エペ団体の日本初の金メダルも刺激に、サーブル種目では初の、日本女子では初のメダルが欲しい。「フルーレ、エペときて、あとはサーブルだけなので、私がつかみたいなと思っています」と明言した。

一方で「今の実力のままでは厳しい」とも切実に感じている。「メダルを取るには、もっと安定して世界のトップ3に入らないと。そのために、日本では圧倒的な強さを手に入れること」を目標に、五輪後すぐの全日本にエントリーした。

来月3日に都内のLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)で行われる決勝では、養成学校JOC(日本オリンピック委員会)エリートアカデミーの同期で、学生時代から高め合ってきた親友の高嶋理紗(22=オリエンタル酵母工業)と対戦する。「実力のある選手だということは分かっていますし、ライバルであり、仲間。どんな相手と当たっても自分の力を出し切りたいと思います」。国内常勝へ、申し分ない相手と日本一を争う。【木下淳】