将来有望な夏目笑(えむ、16=愛知・中京大中京高)がショートトラック界の“神”のすごみを力説した。決勝は18年平昌五輪代表の吉永一貴(22=トヨタ・中京大)と、菊池耕太(24=恵仁会)がスタート直後に交錯し、自身は2番手でレースを展開。宮田将吾(18=阪南大)に次ぐ2位でゴールし「『メダルを取れたらラッキー』という感じだった。(2人の接触で)まさかの2位スタート。びっくりしています」と初々しく笑った。

そんな夏目が“神”と慕うのが吉永だ。中学までは岩手に在住。合宿で吉永の滑りを目にしたことがあり、それがきっかけで20年に中京大中京高へ入学した。

「“神”みたいな存在ですね。みんなに平等に接してくれて、(年齢が)下なのに話しかけてくださいます。去年はコロナの影響で、2人で陸上トレーニングをすることも多かった。テクニックを教えてもらったりしました」

一方の吉永はこの日、500メートルは決勝で4人中4位となったが、1500メートルは優勝。22年北京五輪のリレーでメダルを目指す日本にとって、欠かせないエースだ。吉永も、共に練習する後輩の夏目を気にかける。

「結構、寡黙な感じで、あんまりおちゃらけた感じじゃない。普通にいたら“普通の高校生”っていう感じですが、滑ると“普通の高校生”じゃない」

夏目の「笑(えむ)」という名前の由来は「笑いの絶えない子でいてほしい」という。北京五輪シーズンの今季や、その先へ、世代を超えた切磋琢磨(せっさたくま)がショートトラック界の未来を切り開く。【松本航】