宮城の絶対女王は譲らなかった。女子の古川学園が利府を3-0で下し、17年連続42度目の優勝を飾った。ドミニカ共和国出身の留学生でミドルブロッカーのタピア・アロンドラ(2年)が、195センチの長身を生かして攻守で躍動した。来年1月5日に東京で開幕する全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)で日本一を目指す。

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古川学園が「全員全力バレー」で42度目の女王に輝いた。2セット先取して迎えた第3セットのマッチポイント。高橋陽果里(2年)が2枚ブロックをものともせず、レフトから強烈なスパイクを決めると、コート上に笑顔があふれた。岡崎典生監督(52)が「全国高校級」と称するアロンドラ、鈴木玲香主将(3年)、阿部明音(2年)の3本柱を軸に利府を圧倒した。

アロンドラは195センチの長身から繰り出すスパイク、ブロック、意表を突くフェイントと、チームトップ17得点の鈴木主将に次ぐ14得点をマーク。「めっちゃ緊張しました」と話しながらも好プレーを連発し「優勝できてとてもうれしい。全国大会も頑張ります」。岡崎監督は「ミドルであれだけ高く、早くボールにさわれるのはものすごい武器です。相手にとって脅威な選手」とうなずいた。

テニスやハンドボールなどを経験してきたが、中学1年のときに「ああ面白い」とバレーに魅了され、競技歴は5年目になる。指揮官がドミニカ共和国を視察した際に声をかけられ「バレーがうまくなるために日本に来ました」。中学3年の19年12月に来日。めきめきと頭角を現し、9月にメキシコで行われた女子U18(ユース)世界選手権でドミニカ代表として全試合に出場した逸材だ。

直近の春高バレーは19年度準優勝、前年度4強で、岡崎監督は「先輩たちが悔しい思いをして、この子たちはその思いを受け継いでいるので頑張らせたい」。アロンドラも「日本一になりたいです」と宣言。古川学園が次こそ全国女王の座をつかむ。【山田愛斗】